バターリャ修道院の後、ファティマに立ち寄り、次はトマールにある世界遺産、キリスト教修道院へと向かいます。

 

このトマールは、テンプル騎士団の聖堂があることで有名です。

立派な門を抜けていきます。

 

 

 

長い坂道を登っていきます。

 

 

 

 

 

山の中に忽然と現れた、要塞のような修道院。

 

 

 

この修道院は、12世紀から16世紀にかけて増改築が繰り返されました。

ポルトガル最大規模を誇る修道院、世界遺産キリスト教修道院。

 

 

 

 

外観もすごいけれど、中の回廊もアズレージョで美しく飾られています。

 

 

 

 

修道院は広くて迷子になるほど。

そして、美しいアズレージョに飾られてため息が出るほどです。

 

この修道院には複雑な歴史的背景があります。

この修道院で有名なのは、このテンプル騎士団の聖堂と呼ばれるところ。

聖堂の中に聖堂がある造り。

 

 

 

 

 

中はエルサレムの聖墳墓教会に倣って円堂があります。

外から見ると16角形、中から見ると8角形の鐘楼。

 

騎士たちは、いつでも出陣できるように、馬に騎乗してここを回りながらミサに参加していたといわれています。

 

 

とにかくこの聖堂は圧巻です。

 

ちなみに、以前エルサレムに行った時に撮った聖墳墓教会の写真はこちら。

会堂の中に会堂がある造り。

 

 

テンプル騎士団は、シトー修道会の保護を受けて、修道士であり、戦士である騎士たちから構成されていました。

しかしのちに、寄進などにより莫大な資産を所有するようになりました。

 

その資産に目を付けたフランス国王が財産を狙い、策略をめぐらして彼らから財産を没収するために、異端の濡れ衣を着せ、彼らは財産没収の上に、解散されられるという悲惨な末路をたどりました。

 

多くの国がテンプル騎士団にそのような形で解散をさせる中、ポルトガルにおいてはその無罪を証明し、国王デニス一世が「テンプル騎士団」を「キリスト騎士団」という名前に改名し、騎士団を解散せずそのまま存続させました。

 

それにこたえた騎士団によってポルトガルは支えられ、ついには彼らは最強騎士団となり、ポルトガル海上帝国を築き上げることに寄与したのです。

 

その庇護者、エンリケ航海王子はキリスト騎士団の団長として、このトマール修道院の増改築も行っており、彼はここに居を構えて40年暮らしたそうです。

 

その住居跡が、廃墟となってこのトマールの修道院に残っています。

 

 

 

山の中に忽然と現れた要塞のような修道院。

歴史の荒波にもまれた背景を知るにつれ、出るのはため息ばかりでした。

 

それでも、彼らを保護し、又彼らも誠実を尽くして共に戦ったという事実に少し救われる思いでした。

 

ちなみに1910年、ポルトガル王国の終焉と共にいったん解散した騎士団でしたが、1917年に復活されて、なんと大統領が騎士団のグランドマスターとなったそうです。現大統領もグランドマスターを引き継いでいるのですね。

 

 

ともかく、歴史的にも規模も素晴らしい修道院ですので、一見の価値があると思います。

 

なお、このトマールとアルコバサ、バターリャと3つの世界遺産を見学したいという方は、一つ一つの見学は各6ユーロかかりますが、3修道院共通券15ユーロが売っているので、これを使うとお得に回れます。(2019年当時)有効期間は数日あったかと思います。

 

もちろん、教会ですから無料で見学するエリアもありますが、有料エリアに見どころがたくさんあるので、是非有料で見学することをお勧めします。

 

共通チケットは、見学する最初の修道院で購入することができます。

尚、この情報は少し古いので、お出かけになる前に最新情報を確認してください。

 

で、この3つの修道院のうちどれか一を見学するとしたらと言われたら、私はこのキリスト教修道院かなー。

歴史的成り立ちといい、テンプル騎士団の聖堂といい、とても深く心に残るものでした。

 

さて、今晩は古都コインブラに泊まります。