中国・恒大集団の利払い予定は今後もまだ続きます。

・ 9月29日   4750万ドル

・10月12日 1億4813万ドル

・10月19日 1億2180万ドル

しばらくは恒大集団のニュースに一喜一憂することになると思います。

 

さて恒大集団の経営悪化は借入金を狭められ資金繰りに窮することになったことが原因ですが、そのおおもとは習近平主席の唱える「共同富裕」によるものだと言われております。そもそも習近平主席は「共同富裕」によって何を得ようとしているのでしょうか?

 

 

よく対比されるのは鄧小平氏が1980年代に唱えた「先富論」です。先富論は中国の改革・開放路線の基本原則となりました。これは「先に豊かになれる者たちを富ませる」こと。その結果として「貧しい人々にも富がおこぼれで流れ落ち、経済全体がよくなる」というトリクルダウン理論です。安倍前首相のアベノミクスもトリクルダウン効果を狙っていたと言われていますが。。

 

先富論では「落伍した者たちを助けること、富裕層が貧困層を援助すること」を義務として掲げていましたが、こちらは機能せず中国はアメリカに次ぐ格差社会となってしまいました真顔

 

もともと共産主義は「資本家や富裕層をなくして、平等で貧困のない社会を作ろう」という理念でスタートしたはずなのに理念とは大分ズレてしまいました。この低所得者層の不満を無視したままでいると民主化運動に繋がりかねません。そうなる前に手を打つべきと唱える人も出てきます。

 

習近平主席の政治的なライバルである李克強首相は2013年に、中国人民の約半数にのぼる低所得層への対策を今後の課題し、その格差是正のため経済対策として「李克強経済学部的三大重要支柱」を提唱しました。通称「リコノミクス」です。

 

 

習近平主席に話を戻します。前任の江沢民元主席と胡錦濤前主席は、それぞれ任期10年で国家主席を降りました。習近平主席は2期10年までと制限されていた憲法の規定を撤廃し、10年を超えて国家主席の座に留まるつもりです。来年で任期10年を迎えます。本人は国家主席に留まるつもりでも、共産党の書記長に選ばれないと続投はできません中国

 

中国は共産党独裁なので共産党の書記長=国家主席となります。自民党の総裁選のような選出方法はなく、密室で派閥のトップが話し合いで決めるだけですが、一応政策も掲げる必要があります。その政策が「リコノミクス」をマイナーチェンジした「共同富裕」なのだと思います。(アベノミクスをマイナーチェンジしたサナエノミクスに似ています) この「共同富裕」をアベノミクスのように看板として掲げ長期政権を強化し、毛沢東氏や鄧小平氏に肩を並べる「歴史的指導者」の地位を確立するのが習主席の狙いなのではないでしょうかうーん

 

 

2014年のOECDの報告では「所得格差は経済成長を損ない、所得格差を是正すれば経済成長は活性化される」とされています。習近平主席の「共同富裕」は、所得格差を是正し低所得者層の不満を抑えて中国経済を活性化することを狙ったのだと思われますが、副反応として不動産バブルの崩壊と不良債権問題を招いてしまったのかもしれません。これが逆に中国の経済成長の妨げにならないか、今後の中国政府の対応が注目されます目

 

 

ところで、日本でも格差是正は自民党総裁候補が4名とも主張しています。野党も消費税を5%に下げて富裕層と大企業に増税すると言っています。まるで共同富裕ですが・・・ 格差是正と訴えると国民受けは良いですが、日本の場合は単なるバラマキ政策でないでしょうか!?  この場合の副反応は財政の更なる悪化といったところでしょうかガーン