<白い壁:第二章・・・25>
まゆこは家に着いてから、少し反省していた。
亮子に強く言いすぎたかな・・・と。
自分だってカウンセリングは受けたことがない。
診察だけでことがすんでしまっているから。
それなのに、あんな勢いで言ってしまった・・・
でも、それでも亮子さんのためになればいいのだけれど。
まゆこは薬をバッグから取り出すと整理を始めた。
そして減薬したことを実感した。
たった1つだけだが、大きな1つだった。
もしかしたら、私にとって亮子さんはいい影響を与えてくれた人なのかも。
争うことや、競うこと、人に声を荒げることが苦手なまゆこが、
少しだけだが強気で亮子にものを言えたことをしみじみ感じた。
以前の私なら、あんなこと言えないわ・・・
ただ黙って聞いているだけで。
メイクをすることも、髪をまとめることも、
容姿を気にすることも、全て亮子と出会ってからの変化だ。
亮子さん、カウンセリングで少しは良くなるといいけど・・・
亮子さんが良くなったら、今度は私からお茶に誘ってみよう。
誰かを誘うなんて、どれくらいぶりだろう・・・
いつも声を掛けてもらってばかりのまゆこにとって、
自分から誘うなんて勇気のいることだった。
断られたらどうしよう・・・迷惑だったらどうしよう・・・
いつもそう考えてしまい、躊躇してしまっていたのだ。
まゆこは薬の整理を終えると、珍しく鼻歌を歌いながら、
部屋着に着替えにいった。
(つづく)