<白い壁:第一章・・・26>






今日は診察日か・・・


いつもより、少し気が重く、また少し期待している自分に気がついた。


まゆこは亮子に逢うことが億劫でもあり、

逆に楽しみでもあることは、雄二にも伝えてあった。


「合わないと思ったら、この間教えたように言うんだよ」


雄二はそう言って仕事に出て行った。



まゆこは座椅子に座ったまま、遠くで聞える洗濯機の音を

聞きながら、今日の通院について考えていた。



今日もワンピースだけど、彼女に変に思われないかしら?


パステルグリーンにアジアン系の柄が使われている

少しゆったりとしたワンピースだ。


今日はこれに編み上げのサンダルを履いて、

バッグもアジアンで合わせるよう、かごバッグの予定。



手首の傷はもうほとんどわからない。

よく見たところでなんとなく跡があるかどうか程度。

だからストールは病院に着いてから羽織ればいいか。



洗濯が終わった合図が聞えたので、

白い大きなカゴを持って行く。

そこへ洗濯済みのものを入れて、ベランダに出た。


今日も暑くなりそうだ。


肌がチリチリと痛い。


夏だから当たり前だと思うが、今年は特に暑いらしい。



日傘に日焼け止めも忘れないようにしないと・・・


そう考えながら、無意識に手は動く。



洗濯物干しを終えて、まゆこはそのまま外出準備を始めた。



乳液を塗っただけの顔に日焼け止めを重ねる。

そこに敏感肌用を謳っているメーカーのパウダーをはたき、

眉を少し書き足した。


これでまゆこのメイクは終了だ。

最後にUVカットの薬用リップを塗れば、

あとはサングラスが隠してくれる。



彼女はこの暑い中、またきちんとメイクをして、

きちんとした服装をしてくるのかな・・・


日傘は持ってなさそうだったし、日焼けもしていたから、

肌は強いのだろう。



肌が弱く、日焼けのできない体質のまゆこにとっては

彼女がうらやましい。


地黒なのかもしれないけど、日傘もいらない潔さは

この年齢になると、すごいなという感心と、

気をつけた方がいいのにという心配と、

両方の気持ちが交差する。



時計を見ると、家を出る時間の10分前だった。


多少遅れても、それでも予約時間より早めに着くようにしているが、

一度決めたことを守らないのはまゆこにとって気持ちが悪い。


ベランダや窓のカギを閉めて、荷物を確認する。


忘れ物はない。



玄関でサンダルを履き、日傘を持つと、

一呼吸おいて、玄関をドアを開けた。




(つづく)