自分の鼻の冷たさで目が覚めた。テントの近くで人が歩く音がする。場所的にも仕方ないか、早く撤収せねばと外に出るが、音の主は寒さで二度寝できなくなった武士だった。
気温は−15℃を下回り、さすがに寒いので荷造りをしつつしばらく温室トイレとテントを往復した。
近くに釧路川が流れているので足を延ばしてみると、水蒸気がもくもくとあがっている。気嵐越しの初日の出は初めてだ。



 

この日まずはTTAが再訪を望んでいたセイコーマートやまな店へ。温かい飲み物とカロリーを摂取して1日の行程に備える。つるは体を温めるのに飲料の温度は関係ないと前夜豪語していたこともあり、エナジードリンクを飲んでいた。ちなみに煎餅でも体を温めることができるようだ。

 

3日目は弟子屈から一度北西の屈斜路湖ピストンののち、南下する行程。
同じ場所に戻ってくるので荷物をデポすることになったのだが、こぼちゃんがマイカーに入れて運んでくれた。荷物を手放した我々は、平坦かつ路面に雪が無いことも相まって、逆風の中、屈斜路湖まで一路爆走した。こぼちゃんありがとう


屈斜路湖に近づくと学生当時の記憶が舞い戻ってきた。湖畔へと向かう一本道、どうせ三流大学と嫌味を言われたキャンプ場(あの時は確実に我々が悪かった)、そして深夜の月明かりを頼りに入った露天風呂。
まさか8年後に自転車で訪れることになるとは思ってもいなかった


今回は湖畔の半島にある別の風呂へ向かった。もちろん無人で、今にも朽ちて落ちてきそうそうな小屋の梁が、何とも言えない味を出している。
着くやいなや、津とTTAが風呂に飛び込んでいった。が、様子がおかしい。
どうやらかなりの高温らしく、まともに浸かれないようだ。外へ回り、土嚢をずらすだけというかなり原始的な温度調節を行った。
ふう〜という声が聞こえた。なんとか入れたようである。

 

この和琴半島、半島の北側は冬らしく荒々しい様子だが、一転して風呂のある南側は静かな晩秋の里山のようであった。湖面も穏やかで、耳を澄ますと鈴虫のような虫が鳴いている音さえ聞こえる。極寒ツーリングのはずが、なんだか不思議な感覚に陥った。ここがミンミンゼミ生息地の北限であることにも納得いってしまう。

 

屈斜路湖をでると、往路とは打って変わって追い風となり、快調なペースで進む。

真っ白な牧草地帯と樹林帯の中を交互に通り過ぎていく。

あっという間に弟子屈町内に戻ってきた。

 

昼食はCOFFEE PUBポプラで。地下1階にある喫茶店で、とてもいい雰囲気である。

ハンバーグナポリタン大盛りを平らげると、室内の温かさも相まって

とてつもない睡魔に襲われた。つる曰く、これは気持ちと体のリセットを超えた、

マイナスリセットなのだそうだ。

なんとか重い腰を上げ今日の目的地、標茶へ向かった。

 

走りだすと不思議なもので、それまでの眠気が吹き飛んでいった。

弟子屈から標茶まで釧網本線と並行して走る国道391号は、

こちらも路面に雪がなく、どこまでも平坦な道が続くので、思わずペダルを強く踏み込んでしまう。

武士が路肩で我々を撮影をしてくれていたのだが、気が付くと武士を待つことなく津とTTAがアタックを仕掛けた。

さすがの武士もなかなか追いつかない。平地が苦手なMTB組のつると天狗は辛そうだ。

雪がないのは少し残念だったが、夕日を浴びた国道391号はそれほどアタック欲を掻き立てる気持ちのよい道であった。

 

標茶へ到着後、ホテル・テレーノ気仙の日帰り温泉で汗を流す。

この温泉、とんでもない量の湯気が温泉内に充満していた。しばらく休憩スペースで休憩し、マイナスリセットになる前に温泉を出た。

 

この夜は公園の一角を拝借することとした。テントを立て、夕飯の準備を始めるのだが、とてつもなく寒い。風が吹いているわけではないので、シンプルに気温が低いのだろう。

缶ビールも少し外に置いていただけで、缶を開けた瞬間に泡がでてそのまま凍るという状態。

缶ビールを湯煎して飲むというのは初めてかもしれない。

大量の一味をかけたスープを飲み干し、熱燗を体に含んでも冷気が体を襲ってくるので、皆早々にテントに入った。

 

この日が今回のツーリング最後のテント泊の夜となったわけだが、十分すぎるほどに冬の道東の寒さを味わいながら、2022年初日を終えることとなった。

 

(ドラゴンスネーク)