死んだと聞いても、どこかで諦めきれないあたしでした。


その白い猫は別の猫かもしれない。


ふらりと顔を出すかもしれない・・・



けれどその猫は、死んでしまった事をあたしに教える為だったのか、まだそこにいました。


お前はどれだけの間そこにいたの?



可哀そうな姿に変わっていました。


とても可哀そうな姿でした。



このままここに置いておくか?土に埋めるか?


ひと晩考えたけれど、あたしの手で暗い土中に埋める事など出来ないよ。


お前はカラスの餌になって、綺麗さっぱり無くなるのがいいかもね?



あくる朝、たくさんのお花で飾ってやりました。


ピンクや黄色、紫、白と、色とりどりの可愛い花で。


一年かけてやっと咲いた花は、暖かい家の居間に飾って欲しかっただろうか?


そんなことはない、とても大事な役目をしてもらうのだもの。


幸薄く生まれて いつもお腹をすかせていた野良猫の、一世一代の晴れ姿。


お前の白い毛皮に、その花は本当によく映っている、素適だよ。



これであたしも観念したよ、今日こそは。


往生際悪くおまえを探すことも、もうしなくていいんだ。



バイバイを言うために待っていてくれて・・・ありがとうね じゃあね