機械より人間の5感と経験知がまさる

 

 

症例:42歳、男性

 

主訴:ふらつき

   約1年前から

 

立っているとふらつきが強く、

座ると少しマシ、寝るとほぼ感じない。

 

また自転車に乗っている時には

あまり感じないけれども、

USJのミニオン・ハチャメチャ・ライドに

乗った時に一番ふらつきが強かった。

 

 

奥さんと小学生の子供さんは

ケロッとしていたのに、

ご本人にとってはこれ以上ないくらい

目が回って気分が悪くなったのだそう。

 

 

ふらつきについては、

これまでたくさんの医療機関を回り、

複数回の頭部MRIを撮影したけど、

とくに問題はなかったとのこと。

 

 

持参された他院の頭部MRIを私が見ても、

とくに異常はなさそう。

 

 

一般的に「ふらつき」というのは、

脳に入力される複数の情報の統合が

うまくいっていない状況です。

 

  • 目から入る視覚情報

  • 三半規管※1から入る頭の向きの情報

  • 手足や背中から入る深部知覚※2の情報

※1 耳の奥の内耳と呼ばれる中に蝸牛・前庭・三半規管があり、

   蝸牛は音の情報を、前庭は傾きや直線的な加速、

   三半規管は、回転を伴う加速を感知し、聴神経を通して

   脳神経に情報を送っています。

※2 感覚と呼んでいるものには大きく分けて表在感覚と

   深部感覚があります。表在感覚は皮膚表面の感覚で、

   触覚、温度感覚、痛覚など、

   深部感覚は関節、筋、腱などの

   体の内部の感覚を言います。
   深部感覚は運動覚・位置覚・振動覚などがあります。

   深部感覚は脳幹部と小脳で処理されていて、

   意識にのぼらない感覚で、

   脳幹部や小脳の脳卒中で

   平衡感覚に障害が起こり、

   まっすぐに立ってられない、

   ふらつく、まっすぐに歩けないなどの症状が出ます。

 

これらの情報が、脳の中で矛盾なく

統合された状態の時に、

人間はふらつきを感じないわけです。

 

 

ところが閉眼によって視覚情報が遮断されたり、

三半規管の不具合があったり、

頚椎症などのために手足からの深部知覚が

うまく脳に伝わらなかったりすると、

ふらつきを感じてしまいます。

 

 

また脳自体の問題で、

情報の統合がうまくいかない

ということもあります。

 

 

いろいろな身体所見から

「ひょっとして頚椎に問題があるのかも?」

と思った私は、

全脊椎MRIを撮影することにしました。

 

 

しかし頚椎は軽いヘルニアがある程度でした。

 

 

また胸腰椎もとくに問題はありません。

 

 

 

一方、この患者さん。

 

私の初回と2回目の診察の間に、

ご自分で探し出した

整体に行っておられたのです。

 

 

果たして整体の効果やいかに?

 

 

患者さんに尋ねてみた結果は

予想外のものでした。

 

 

整体では背骨を触って

「頚椎と腰椎の前弯が消失していますね」

と言われたのだそうです。

 

 

実際、全脊椎MRIでは

ストレートネックになっており、

腰椎もストレート気味でした。

 

 

 

これがふらつきの原因かもしれない、

と思った患者さんは

頚の下に枕を入れて寝るようにしたそうです。

 

 

それまでは枕をせずに寝ていたのだとか。

 

 

 

枕を使うと、ふらつきが

随分マシになったそうです。

 

 

 

一体、そういうことがあるのか?

 

私自身はあまり経験がないので

ネットで調べてみました。

 

 

確かに

「ストレートネックは

 頭痛やめまいの原因になる」

といった記載が数多くみられます。

 

 

その多くは整形外科というよりも、

整骨院のホームページになるのですが。

 

 

原因やメカニズムが何であれ、

治ったらOKです。

 

 

整体でどのような施術をするのか、

そしてその結果はどうなのか。

 

虚心坦懐にフォローしてみようと思います。

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