パンデミック以降の

コロナ抗ウイルス薬の実態

 

2023年夏以降、

間断なく継続しているウイルスの遺伝子変異に対して、

オミクロン株以前のパンデッミク期に開発された

抗ウイルス薬が、その効果を維持しているのか?


2021年8月から2022年7月にかけて、

流行しているコロナウイルスが

デルタ株からオミクロン株に切り替わりつつある

過渡期に集積された症例を対象。

 

 

ニルマトレルビル・リトナビル

(商品名:パキロビッドパック、

 5日分の薬価:9万9,000円)

に関する大規模臨床試験の結果から。


 

【対象】

成人の外来通院中の患者で、

 

ワクチン未接種で

重症化リスクを少なくとも1つ以上

有するコロナ感染者

および

重症化リスクを有さないコロナ感染者

(1年以上前のワクチン接種者を含む)

 

【結果】

 

ニルマトレルビル投与によって症状緩和までの時間、

コロナ関連入院および死亡率は

プラセボ(偽薬)群に比べ有意差はなく、

 

ニルマトレルビルは

オミクロン株が主流を占める現在の臨床現場では、

効果はないことが判明。

 

ニルマトレルビル以外に

治療薬として認可されている

モルヌピラビルは

(商品名:ラゲブリオカプセル、

 5日分の薬価[成人]:9万4,000円)

 

ワクチン未接種者に対しては

モルヌピラビルの投与28日以内に

コロナに起因する入院/死亡予防効果は31%。

 

ワクチン接種者に対しては

モルヌピラビルの入院/死亡予防効果は、ほぼゼロ。

 

モルヌピラビルを実際の臨床現場で投与する

医学的必然性がないことが判明。

 

以上のような結果を踏まえ、

2023年2月25日、欧州医薬品庁(EMA)は

実際の臨床現場でのモルヌピラビルの使用中止を勧告。

 

EMAの勧告を受け、

欧州、米国、豪州などの先進諸国では

モルヌピラビルは実際臨床の現場で

投与されなくなっている。

 

 

現在のところ、現在流行中の新型コロナに対して

抗ウイルス剤は効果がない

という結果になっています。

 

【引用文献】

Nirmatrelvir for Vaccinated or Unvaccinated Adult Outpatients with Covid-19

ワクチン接種済みまたは未接種の新型コロナウイルス感染症の成人外来患者に対するニルマトレルビル(仮邦題)

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2309003

 

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