最近増えてきた肝臓の病気:脂肪肝

 

脂肪肝とは、中性脂肪が肝臓に蓄積する病気。

 

食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足、肥満、

無理なダイエットも原因に。

 

糖質はブドウ糖に分解されて、

小腸から吸収された後、

肝臓で中性脂肪に変化します。

 

主に、中性脂肪は摂り過ぎた

ブドウ糖のストック分です。

 

 

肝細胞は非常に多くの仕事をしています。

 

アルコールなどの解毒、糖代謝、

脂肪酸、コレステロールの合成、

胆汁酸の合成、

アルブミン、酵素の生成、

薬物代謝、アンモニアを尿素窒素に無毒化、

ヘモグロビンの代謝産物であるビリルビンの

水溶化、などなど。

 

肝臓の仕事を工場群を作って代行させる場合、

東京23区の広さでも代行できないと

言われています。

 

 

肝臓が最後にする仕事が脂肪の分解

 

仕事が多すぎると、肝臓は残業分として

油脂を細胞内にため込んでいきます。

 

処理できない油脂がたまりすぎると

肝細胞はパーンと弾けてしまいます。

 

再生スピード以上に

壊れる細胞が多いと、

かさぶた(コラーゲン)で置換されます。

 

これを線維化と言い、

最終的には肝臓は硬くなり、

肝硬変と呼ばれるように。

 

 

脂肪肝でも、肝硬変に至ると

高い頻度で肝がんが発生します。

 

少し硬い程度でも

一定頻度で肝がんが発生します。

 

 

少し硬い程度の脂肪肝の患者さん

は非常に多いため、

肝がんが発生するリスクを見分けるような

新たなバイオマーカーの開発

が期待されていました。

 

 

FIB-4 index

血液検査のAST、ALT、血小板数、年齢

の4項目を組み合わせて計算できる数値で、

(年齢×AST /(血小板(万)×√ALT)

 

FIB-4 index>1.3が肝臓の硬さの危険指標

中リスク以上。

 

GDF15 

血液中に分泌される成長因子で、

細胞調節タンパク質グループの一種。

肝がんを成長させる因子でも。

 

 

大阪大学医学部、北海道大学医学部、

佐賀大学医学部などの研究グループが

 

脂肪肝患者において血中GDF15 値が高ければ、

その後肝がんが発生しやすいことを明らかに。

 

また、血中GDF15 値が高い患者は、

その後肝臓が悪くなり

腹水や肝性脳症などが出現して

入院する可能性が高いこと、

予後も悪いことも。

 

 

また、FIB-4 indexによる肝臓の硬さ

危険指標低リスク(FIB-4 index<1.3)群は、

ほとんど肝がんは発生しませんでした。

 

 

そこで、血中GDF15 値とFIB-4 index>1.3

と組み合わせることで、

より効率的に肝がんの発生リスクが高い患者、

肝臓が悪くなる患者、予後が悪い患者

を絞り込むことができることを明らかに(図1)。

 

 

20240618_1_1.png

図1. 脂肪肝患者のリスク分類と5年後のイベント発生率

 

【引用文献】

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/apt.18063

 

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