ピロリ菌の除菌治療の失敗

は虫歯と関連

 

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)

の除菌治療に成功するかどうかは、

 

虫歯の有無と有意に関連している。

 

 

日本 朝日大学歯学部発



ピロリ菌は、胃炎、胃潰瘍、

胃がんなどの原因。

 

胃がんの90%以上はピロリ菌が原因。

 

 

ピロリ菌の感染者は減少傾向ですが、

 

2017年時点で日本人の

約3600万人が感染しており、

 

汚い水に住んでいるため、

上水道化されていなかった時代、

 

井戸水や川の水を飲んでいた

高齢者ほど感染率は高くなります。

 

 

 

ピロリ菌の感染者には

胃酸を抑える薬を1種類、

抗生剤を2種類

朝晩に1週間服用する除菌治療

が行われますが、

 

除菌は必ず成功するわけでは

ありません。

 

約1割の方が除菌できない

結果が。

 

 

 

 

除菌失敗の原因として

かぜをひいたら抗生剤を出されたり

出してもらっていた人の

ピロリ菌が抗生剤に対して

耐性を持ってしまった例が

報告されていますが、

 

まだ不明な点も多く、

さらなる研究が必要とされています。

 

 

 

以前に研究グループは日本人における

ピロリ菌感染と虫歯との関連を報告。

 

今回の研究では、ピロリ菌の除菌失敗と、

未治療の虫歯との関連について検討。

 

 

 

【方法】

2019年4月から2021年3月に

朝日大学病院で

ピロリ菌の除菌治療および歯科検診

を受けた226人

(男性150人、平均年齢52.7歳)。

 

 

上記患者さんには

標準的な初回除菌治療

が行われ、

1カ月後に除菌の成否が

尿素呼気試験で判定。

【結果】
226人のうち除菌に失敗した人は

38人(17%)。

 

除菌に失敗した人は

成功した人と比べて、

 

歯磨きの回数が

1日2回以上磨いている人が少なく、

虫歯のある人が有意に多かった。

 

除菌に失敗した人と成功した人で、

歯の詰め物や歯の欠損の有無

について統計学的な有意な差はなかった。



さらに統計学的に詳しく解析すると

ピロリ菌の除菌失敗は、

虫歯ありと有意に関連していた

(虫歯なしと比較したオッズ比2.672)。

 

 

虫歯の本数別に検討したところ、

 

除菌に失敗した人の割合は、

虫歯が1本の人では24%

(21人中5人)、

2本の人では40%

(5人中2人)、

3本以上の人では67%。

(6人中4人)

 

虫歯の本数が増えるほど、

除菌に失敗する人の割合が高まる

 

という統計学的に有意な傾向が。

 

【検討】

虫歯のある部位からもピロリ菌は検出。

 

この部位は血液循環が悪く、

抗菌薬が浸透しにくい。

 

 

さらに、増殖している虫歯の細菌が

「バイオフィルム」

という膜を形成することで、

 

ピロリ菌も抗生剤から保護され、

抗生剤の効果が低下する可能性を指摘。

 

 

一方、除菌の失敗と歯の詰め物との関連

は見られなかったことから、

「虫歯が発生しても、適切に治療すれば、

除菌失敗のリスクを減らすことができる」

 

【引用文献】

Iwai K, et al. Sci Rep. 2024;14;4043.

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歯周病が心筋梗塞、脳卒中、認知症とも

関連していることが

わかっているので、

年1回程度の歯科受診を勧めます。

 

なんでもそうですが、

早期発見早期治療が

お金、時間の節約になります。

 

 

朝日大学歯学部のデータにある

除菌失敗例が

通常の10%よりも多いのは

 

歯周病、バイオフィルムが

治療抵抗性の原因にも

なっているということを

端的に証明しています。