HPVとタバコ:危険な組み合わせ

 

高リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV

によって引き起こされる子宮頸がんに

とくに当てはまります。

 

※ヒトHuman パピローマPapilloma ウイルスVirus

 HPV:イボを作るウイルスですが、

 16型、18型が、子宮頸がんの6割に検出されています。

 

フランス、マルセイユ発

 

 

4,500種類の化学物質

 

タバコに含まれる

約4,500種類の化学物質のうち

60種類には発がん性がある。

 

ベンゾピレンはウイルス量を増加させ、

ニトロソアミンには発がん性が。

 

 

ニコチンは無害?

 

ニコチンも何の影響もない

訳ではありません。

 

直接的な発がん作用はないものの、

免疫抑制という観点では有害。

 

 

 

タバコは細胞性、体液性、

局所性、全身性免疫といった

免疫のあらゆる構成要素を変化させます。

 

 

全がん患者のうち、

13%はタバコが原因。

 

 

女性の子宮頸がんの危険因子は

タバコとヒトパピローマウイルスHPV。

 

咽頭がんや上咽頭がんも同じです。

 

 

HPV感染の影響を受ける

すべての部位において、

がんとタバコはきわめて強い関連が。

 

 

 

 

2011~16年にかけて

女性3,833人を対象に実施された

アメリカの国民健康栄養調査研究では、

 

タバコへの曝露(受動喫煙)が

HPV感染リスクを

32%増加させることが示されています。

 

 

女性喫煙者の場合、

教育や年齢などの多数の関連因子を調整すると、

このリスクは70%の増加に。

 

 

 

 

ウイルスクリアランスの低下

 

タバコはどのように作用するのだろうか。

 

タバコは、HPV複製、

がんタンパク質E6およびE7の発現、

(病変の発生を促進する)

 

DNA損傷、免疫応答など、

感染および免疫応答の

すべての段階に影響を与えます。

 

原因は

タバコによって免疫力が低下し、

HPVに頻繁に感染して

キャリアになる可能性が高まるだけでなく、

 

ウイルスクリアランスも低下するから。

 

※ウイルス自体を排除する力

 オートファジーや

 感染してしまった細胞を排除する

 Tリンパ球を主体とした免疫力です。

 

 

 

中国人女性を対象とした研究では、

喫煙者はウイルスクリアランス率が

50%低いことが示されています。

 

また、HPVクリアランス率は、

喫煙期間、喫煙量、喫煙頻度に

比例することも示されています。

 

 

 

 

喫煙によって免疫力が損なわれ、

敵を感知して排除するための

Bリンパ球が出す抗体価が低下して、

HPV感染のリスクが高まる。

 

さらに感染した細胞を排除する

ナチュラルキラーNK細胞の

免疫力も下がる。

 

これによりクリアランスが低下し、

それ故にHPV感染持続期間が延長することで、

前がん病変やがんのリスクが上昇する。

 

 

 

喫煙を早期に開始すると

さらに有害となることを考えると、

 

若者の禁煙支援および喫煙予防のための

より効果的な政策が本当に必要。

 

 

 

喫煙はきわめて依存性が高いため、

長期にわたる定期的な受診が

必要になりますが、

 

残念なことに依存症の人たちは

放置されたままになっています。

 

 

【引用文献】

https://www.medscape.com/viewarticle/hpv-and-tobacco-dangerous-lesions-2024a10003mf