ヨウ素を摂取する

 

口腔内殺菌消毒薬

として用いられる

薬局で購入できる

 

『のどぬ~るスプレー』には

 

1噴霧中(0.1mL)、

 

「ヨウ素」が含まれています。

 

 

これは、6噴霧すると

日本人1日の摂取上限量(3mg)、

4噴霧で妊婦の上限量(2mg)

に達します。

 

 

多くの人が思っているよりも

“多量”の「ヨウ素」

を摂取することになります。

 

 

バセドウ病

 

日本代表選手だった

本田圭佑さんが

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)になって

 

目が飛び出してきたのには

びっくりしました。

 

 

 

バセドウ病

「自己免疫性疾患」と言って、

 

自分の白血球(リンパ球)が

 

「甲状腺ホルモンを作れ」

 

と脳下垂体から出てくる

甲状腺刺激ホルモン(TSH)を

 

 

甲状腺細胞で受け取るための受容体を

(TSH受容体)

 

間違って攻撃する病気です。

 

 

 

TSH受容体に対する抗体が作られて

TSH受容体を刺激し続け、

 

甲状腺ホルモンが過剰に

産生・分泌されます。

 

 

 

 

バセドウ病を治療するときは

メルカゾールという

お薬を使って、

 

甲状腺ホルモンを合成するときに

必要な酵素のはたらきを

抑えてホルモンの合成を抑制します。 

 

 

また、このお薬は

免疫担当細胞に作用して、

リンパ球の増殖や抗体産生能を抑制します。

 

 

 

 

現在は放射性ヨウ素治療と

薬物療法が確立していて、

 

外科手術は特殊な症例だけに限られています。

 

 

 

 

バセドウ病に対する外科手術前

 

 

甲状腺ホルモン値がまだ高い状態で

手術する際は、

 

術後に

甲状腺クリーゼ※

が起きることを予防するため

 

イソジンガーグル

(のどぬ〜るスプレーよりも早く出てました)

 

を数日、薄めて服用してもらいました。

 

※ストレスで甲状腺ホルモンが過剰に出過ぎて

 複数の臓器が耐えきれなくなり、

 機能低下を起こして、命の危険性が出てくる状態

 

 

 

 

 

外科手術の皮膚消毒薬

 

またイソジンという消毒薬を

(10%ポピドンヨード)

患者さんのからだに塗って手術に臨みます。

 

 

ポピドンヨードが乾燥するときに

表面の細菌を殺してくれるからです。

 

 

 

昔は、腸管を吻合する際にも

腸管の内腔を

イソジンで消毒していました。

 

 

イソジンが粘膜を障害する

ということがわかってからは

 

吻合する前のイソジン消毒は

行わず、

 

生理食塩水を含ませた綿球で

腸内容を拭き取る作業に代わりました。

 

 

 

それ以降、私は、

かぜにイソジンガーグルを

処方しなくなりました。

 

 

小さい時に扁桃腺を腫らした時には

近所の内科の先生が

甘辛いイソジンを

塗咽(といん)

と言って、

 

扁桃腺を消毒してくれていました。

 

 

当時、それが常識でした。



「引用文献」
1)のどぬ~るスプレー 添付文書
2)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」