肝がん、乳がんが多い都道府県は?

 

 

世界中でも、国や人種によって

多いがんと少ないがんが。

 

実は日本国内でも

地域ごとに発生するがんの種類に

バラツキがあります。

 

 

この要因はさまざまなものがあり、

遺伝子、人口構成、食生活

などが影響してます。

 

 

そして、最も大きな原因は、

ウイルスの偏在と感染です。

 

 

【胃がん】

 

全国がん登録のデータ(2019年)を基に、

人口調整後の10万人当たりの罹患率を見ると、

胃がんの罹患率がもっとも高いのは、

 

男女共に秋田県。

 

 

胃がんはピロリ菌の感染が

原因の9割を占めます。

 

ピロリ菌の検査と除菌するようになってから

罹患者数は減少傾向に。

 

 

その中にあって

秋田県の罹患率が依然として高いのは、

塩分が多い食生活が大きな要因

だと考えられています。

 

マウスの実験ですが、

ピロリ菌に感染しているマウスに

塩分を過剰に摂取させると

胃がんの発生率が上昇します。

 

秋田県に限らず、

胃がんを減らすためには、

減塩、禁煙・節酒が有効。

 

 

 

【肝がん】

 

肝がんの罹患率が高いのは、

佐賀県をはじめとした九州エリア。

 

九州だけでなく、

西日本全体が東日本と比べて高い傾向が。

 

これは肝がんの主な発症原因である

C型肝炎ウイルスが

佐賀県一帯の東シナ海エリアに

多いため。

 

台湾なども同じ理由から

罹患率が高い傾向が。

 

企業が行う健康診断では

毎年肝機能検査を行っており、

 

厚生労働省のプロジェクトチームが

ウイルス性肝炎検査

も加えることを要請しています。
 

 

【乳がん】

 

乳がんの罹患率が高いのは

東京都などの首都圏。

 

これは未婚で出産経験のない女性

が多いことと関連。

 

 

乳がんは10万人当たりの年間罹患者数が

40年で4倍と急増。

 

 

現在の日本人女性は

平均して生涯に450回ほど

月経があるとされますが、

 

これは100年前の5倍超。

 

 

かつては子沢山であり、

妊娠・授乳期間を含めて

子供1人当たり3年間ほど

月経が止まる期間がありました。

 

 

この間、女性ホルモンによる刺激が減り、

乳がんの罹患リスクが低下していました。

 

 

現在の乳がんの新規罹患のピークが

40代後半にある理由が

結婚する女性・出産する女性・

出産数の減少が大きく影響しています。

 

 

 

【白血病】

 

白血病の罹患率が高いのは

沖縄県、鹿児島県など。

 

白血病の中の成人T細胞白血病(ATL)は、

ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)

の感染によって発症。

 

HTLV-1の感染経路は母乳

による母子感染が多くを占め、

 

このウイルスのキャリアが

沖縄をはじめ、鹿児島、

青森、岩手の一部に多くいます。

 

 

一方、このウイルスは

中国・韓国ではほとんど見られません。

 

 

日本人の祖先は

海洋系日本人と

大陸系日本人の混血です。

 

海洋系日本人に感染者がいて

大陸系日本には感染者が少ない。

 

 

朝鮮半島を経由して

日本列島に渡ってきた人が多くいる

本州には少なく、

 

南方から海路で

渡ってきた人たちが多い

沖縄、九州には多いことに由来します。

 

 

もっとも、人の移動の増加に伴い、

HTLV-1感染は全国で見られるようになっており、

とくに大阪などの大都市圏で増加しています。
 

 

【食道がんなど】

 

アルコールは肝臓で

「アセトアルデヒド」

という物質に分解されます。

 

このアセトアルデヒドを分解する酵素が

日本人はというか

東アジア人は正常型が55%、

活性が弱いタイプ『低活性型』が40%います。

 

残り5%は不活性型で、

お酒が飲めない体質になります。

 

 

問題は「低活性型」で

このタイプの人が

飲みすぎると発がんリスク、

 

とくに大腸がんや食道がん

のリスクが急激に高まることがわかっています。

 

低活性型が多いのは

近畿・中部・中国地方です。

 


がんは決して一様な疾患ではなく、

地域や人種によってリスクに差があり、

 

それを生む大きな要因にウイルス感染。

 

 

自分の居住するエリアの特性を知り、

対策を知っておくことも重要です。

 

【引用文献】