新たな疾患「殿様枕症候群」とは

 

医療系サイトを見ていて

初めて知りました。

 

千鳥のノブさんがこの疾患にかかったことで

SNSで話題になっているそうです。

 

若年や中高年に起こる

「特発性椎骨動脈解離」

による脳卒中の一部だそうです。

 

 

【解剖:血管】

 

脳を栄養する動脈は2系統あります。

 

<前方系の血管>

 

内頚動脈

 

首でふれる総頚動脈という血管は

あごのところで

 

顔面を栄養する動脈(外頚動脈)と

 

大脳半球とその中心部にある

動物としての重要な部分を栄養する動脈

(内頚動脈)

に枝分かれします。

 

<後方系の血管>

 

椎骨動脈ー脳底動脈

 

延髄、小脳など「脳幹部」と呼ばれる

生きていくために必要な生命維持装置、

耳、顔、バランス、神経の通り道を栄養しています。

 

 

解離

血管は三層構造になっていて、

内側から

内膜(内皮細胞、血管上皮)、

中膜(平滑筋:思い通りにならない自律神経で支配)、

外膜(筋層を養う動脈・静脈・リンパ管・神経)

 

多いのは動脈硬化で内膜に裂け目が入り、

中膜に血液が入り込み縦長に裂けてしまうこと

 

外膜にまで解離が進むと

くも膜下出血を起こすことがあります。

 

「殿様症候群」

若年に多い疾患であるものの、

原因不明の症例がほとんどだそうです1)2)。

 

 

首をポキポキ鳴らすような

カイロプラクティックや整体によって

椎骨動脈解離を起こす事例もあることから、

日常生活における負荷も影響している説も。

 

首ポキ療法と呼ばれる「スラスト法」について

欧米でも危険視されており、

平均年齢41歳の脳卒中患者集団では、

30日以内にスラスト法を受けていた割合が

4倍以上という報告が3)。

 

 

誘因なく発症している椎骨動脈解離も事実。

 

国立循環器病研究センターの研究グループは、

極端に高い枕を使っている人に多いことを発表。

 

「殿様枕」

殿様だけではなくて、

江戸中期では市中でも流行した枕。

 

男性ではちょんまげ、

女性では結い上げた髪を崩したくなかったからだそうです。

 

 

12cm以上を高値、

15cm以上は極端な高値と分類。

 

特発性椎骨動脈解離の患者53例と

コントロール患者53例を調査、

 

高い枕の使用と疾患の発症に

統計学的に有意な関連がみられました。

 

 

とくに15cm以上の極端な高い枕では、

オッズ比10.6倍という結果でした。

 

臨床的に特発性椎骨動脈解離のうち、

約1割がこの「殿様枕症候群」であることが示されました。

 

この「殿様枕症候群」、

英訳はどうなるんだろうと思ったら、

 

「Shogun pillow syndrome」だそうです!

 

 

【引用文献】

1)

2)高枕と自然発生的な椎骨動脈解離:「ショーグン枕症候群」を示唆する症例対照研究(仮邦題)

High pillow and spontaneous vertebral artery dissection: A case-control study implicating "Shogun pillow syndrome".

 

3)脊椎整体療法は、椎骨動脈解離の独立した危険因子です(仮邦題)

Spinal manipulative therapy is an independent risk factor for vertebral artery dissection.