痩身目的のオンライン診療での

トラブルが急増/国民生活センター

 

アメリカではGLP-1受容体作動薬は

(以下GLP-1作動薬と省略します)

 

 

1)BMI(体格指数)27㎏/m2以上 の患者(過体重)

  で、高血圧、2型糖尿病もしくは高脂血症を合併

 

2)BMI(体格指数)30㎏/m2以上 の患者(肥満)

 

 

1)2)に対する食事療法および運動療法への補助療法

  として許可されています。

※BMI=体重kg÷身長m÷身長m



アメリカ人の約70%は

肥満あるいは過体重といわれています。

 

心筋梗塞や脳梗塞、脳出血や糖尿病の

リスクが極めて高いことが知られています。

 

また、膵臓がんや大腸がんにかかる

リスクも。

 

 

食事や運動で体重が5〜10%

減らすことができれば、

心筋梗塞の危険を

かなり下げれることがわかっています。

 

 

 

痩身目的等のオンライン診療トラブル頻発

 

日本では、糖尿病患者さんに対しては

保険を使った使用が認められていますが、

 

肥満や過体重の人に対しては

保険適応が認められていません。

 

 

痩身、ダイエットを全面に打ち出し、

オンライン診療で

十分な説明をしないまま

処方し、健康被害にあう人が急増し、

国民生活センターが警鐘を鳴らしています1)。

 

 

相談件数では、

2021年度は49件、

2022年度は205件、

2023年度は10月31日までで169件と多く、

21年から22年では約4.2倍も急増。

 

 

また、この薬を必要としている

糖尿病の患者さんに薬が届かない

状態となっています。

 

 

 

相談事例からみる特徴や問題点


自由診療では、医師は副作用や合併症のほか、

費用および解約条件、

効果の個人差などを丁寧に説明する義務があります。

 

しかし、多くの事例でこれらの説明が不十分。

 

 

「オンライン診療の適切な実施に関する指針」2)

(厚生労働省作成)では、

 

初診の場合は、

 

基礎疾患などの情報が把握できていない患者には

8日分以上の処方を行わない

 

と定められています。

 

 

 

初診で基礎疾患などの確認が不十分なまま

数ヵ月分の処方がなされているケースが。

 

さらに、糖尿病治療薬を痩身・ダイエット

目的で処方(不適正使用)しているケースが。



【特定商取引法に基づく

取消しや解約が難しいケースが】


痩身目的の治療で

契約期間が数ヵ月間の継続コース

(処方薬の定期購入)

を勧められ、

 

数十万円の契約をしているケースが多く。

 

 

オンライン診療の場合、

 

定期購入と同様の仕組みであっても、

特定商取引法に基づく

取消しができないケースが。


【運営事業者と医師の責任の所在があいまい】

 

診察や処方薬などにかかる説明は誰が行うのか、

 

誰が処方薬の販売者なのか、

 

トラブルが生じた際、

誰がどういった責任を負い、

どこに問い合わせればいいのかなど、

消費者にとってわかりにくくなっている。
 

 

消費者への4つのアドバイス

 

【痩身目的などのオンライン診療を受診するときは、

処方薬も含め医師からしっかり説明を受ける】

 

持病があり、通院や服薬をしている人は、

主治医に相談するなど、

とくに慎重に検討することが大切!

【糖尿病治療薬は痩身目的の使用に関し、

安全性と有効性は確認されていない】


糖尿病治療薬であって、

美容・痩身・ダイエットなどを目的として

使用した場合、

安全性と有効性は確認されていない。

【解約条件などを申し込み前によく確認】


定期購入になっているケースが多く、

解約できる場合でも条件付きが多く、

申し込み前によく確認を。

 

解約の申し入れ先や副作用が出た場合

の連絡先などについてもよく確認を。

【トラブルにあった場合は、

消費生活センターなどに相談】
 

契約に不安を感じたり、

解約時にトラブルになったりした場合には、

 

1人で悩まず最寄りの消費生活センターや

消費者ホットラインの188(いやや!)へ相談。

 

もし、副作用などの症状が出た場合、

速やかに最寄りの医療機関を直接受診する。

 

【引用文献】

1)痩身目的等のオンライン診療トラブル(国民生活センター)

2)オンライン診療の適切な実施に関する指針(平成30年3月)(令和5年3月一部改訂)

https://www.mhlw.go.jp/content/001126064.pdf