腸内細菌叢はいかにして

がん治療の成功に影響を及ぼすか

 

ドイツ、ハンブルク発

 

ひとの細菌叢は、

39~44兆個の微生物で構成されています。

 

ひとの細胞数の10倍に相当。

 

 

腸内細菌叢の乱れが局所の病気

および全身におよぶ病気のリスクに

 

 

「がんとその治療も、同様に影響を受ける」

 

 

腸内細菌の種類が多いことは、

がん治療にとっても有益。

 

腸内細菌叢の構成は

そのひとごとに大きく異なり、

変化します。

 

 

 

腸内細菌叢と病原性

 

生体の細菌叢は皮膚のバリアであり、

口腔鼻腔粘膜、気管・気管支・肺、

食道から直腸までの消化管粘膜、泌尿生殖器

の粘膜バリア。

 

ひとを対象とした研究、がんモデルマウスの実験で

がんの発生や悪性化、がん治療に対して

プラスに働く細菌もいれば、

マイナスに働く細菌もいます。

 

 

抗生剤治療中に起きる

腸内細菌叢の乱れは免疫治療に

悪影響を与える

 

がんに対する免疫療法は

今現在では

 

免疫チェックポイント阻害剤以外の

治療は、まったく効果がないことが

わかっています。

 

(むしろ有害で、

健康保険治療が認められていません)

 

 

 

胃潰瘍、逆流性食道炎を治す

胃酸を強力に抑える薬

(ラベプラゾールやランソプラゾールなど)

も悪玉細菌を増やすので

免疫療法の治療成績を悪くします。

 

 

腸内細菌叢の中の

アッカーマンシア・ムチニフィラ

の菌数が多いほど

免疫療法の効果が高かった

 

 

肺がん患者338例を対象に

糞便中にアッカーマンシア・ムチニフィラ

が多いひと、少ないひとで

免疫療法の生存率を調べた。

(フランス・国立衛生医学研究所)

 

 

アッカーマンシア・ムチニフィラ

が多いひとの方が

長生きできた。

 

 

治療介入

 

進行悪性黒色腫患者20例

を対象に免疫療法を実施。

 

 

腸内細菌叢を改善するために

アッカーマンシア・ムチニフィラの多いひとの糞便から

採取した腸内細菌を移植する治療を行い、

(糞便移植法)

 

1週間後に免疫チェックポイント阻害剤による

治療を実施し、合計合計3~4サイクル投与。

 

 

12週後、大半の患者は

画像診断ではがんが消えた

もしくはがんが小さくなった。

 

 

ただし、糞便移植法にもリスクがあり、

多剤耐性大腸菌による敗血症が2例に、

その他の重篤な感染症も発生した。

 

 

それ以来、糞便提供者の糞便の検査を

もっと厳密にすることが、糞便移植法の条件に。

 

 

 

栄養介入

 

市販のプロバイオティクスには注意!

(乳酸菌、ビフィズス菌を含む食品、

 サプリメント)

 

市販のものは

ラクトバチルス、ビフィドバクテリウムなど

数種のみが含有されており、

抗菌薬投与後の腸内細菌叢がもとの状態に

戻るのを遅くするため

免疫療法の成績が大幅に下がった。

 

 

 

対照的に、プレバイオティクス

(食物繊維が豊富な食事)

は有用。

 

 

食物繊維が大腸に届くと

腸内細菌の酵素によって

短鎖脂肪酸に分解され、

特定の細菌叢の増殖を促進する。

 

 

食物繊維を豊富に含む食品を

わずか20g摂取するだけで

免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けている

悪性黒色腫患者128例に大きな恩恵が。

 

 

食物繊維が豊富な食品を

1日当たり20g摂取した場合、

がんが進行せず安定した状態が

60ヵ月間(5年!)

継続した。

 

 

 

最も大きなベネフィットが観察されたのは、

食物繊維を十分に摂取していたが、

プロバイオティクスは摂取していなかった患者

 

 

 

 

 

推奨すべきものは何か?

 

1)抗生剤の投与は十分に「予定を立て」、

  可能な限り特定の細菌のみやっつける

  抗生剤を選択し、計画的投与する。

 

  免疫療法開始前30日間は

  抗生剤の服用を避ける。

 

2)さまざまな植物性食品から

  食物繊維を多く摂取し(>20g/日)、

 

  人工甘味料や調味料、

  超加工(インスタント)食品を避ける。  

 

  さらに、加工肉の摂取量はできるだけ少なくする。

 

3)定期的な身体活動も重要。

 

【引用文献】

腸内細菌叢ががん治療の成功に与える影響

How the Microbiome Influences the Success of Cancer Therapy.

 

 

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