補聴器の使用で認知症リスクが低減
UK Biobankコホートの分析
研究の背景:補聴器の使用と認知症リスクとの関連を探る
超高齢社会では認知症対策は喫緊の課題。
認知症のリスクとして、
難聴の寄与度は8%
という報告が1)。
認知症と難聴は、
いずれも高齢者において
罹患率が高い疾患です。
中高年における補聴器の使用と
全原因および原因特異的認知症
のリスクとの関連を調査し、
関連する因子を研究した論文を紹介。
【結論】
補聴器未使用例は
認知症リスクが42%上昇
【方法】
イングランド、スコットランド、ウェールズ
2006~10年に22のセンターで募集した
40~69歳の成人人口ベースコホート研究
UK Biobankのデータを使用し、
統計学的に解析。
認知症の診断は、
病院の記録と死亡台帳のデータを用いて確認。
媒介変数(自己申告の社会的孤立、孤独感、気分)
調整変数〔自己申告の教育歴と収入、喫煙、病的状態、
測定されたアポ蛋白(apo)E対立遺伝子の状態〕
の役割も分析。
【対象】
聴覚障害に関する質問に回答しなかった2万5,081例と
ベースライン時に認知症を有していた283例を除外した
43万7,704例(女性53.7%、白人95.1%)
難聴がない者と比べ
補聴器を使用していない難聴例は
全認知症リスクが42%上昇。
(HR 1.42、95%CI 1.29~1.56)
一方、難聴例でも補聴器を使用している場合、
リスクの上昇は見られませんでした。
(同1.04 、0.98~1.10)
全認知症と原因特異的認知症ともに、
(アルツハイマー病、血管性認知症、
および非アルツハイマー病・非血管性認知症)
補聴器を使用すると認知症リスクが低下していた。
難聴に起因する認知症リスク割合は
29.6%と推定。
補聴器の使用は
全認知症の発症を、
社会的孤立の軽減で 1.5%、
孤独感の軽減で 2.3%、
抑うつ気分の軽減で 7.1%
軽減していた。
【考察】
補聴器を使用しない難聴に起因する
認知症リスク割合は29.6%
全世界で40〜69歳の10%、
65歳以上の30%、
80歳以上の70〜90%が難聴(20dB以上)に
罹患。
本研究では難聴がない参加者と比べて、
補聴器を使用していない難聴例は
全認知症のリスクが
42%上昇していた。
しかし、補聴器を使用している
難聴例の認知症リスクは
難聴がない参加者と同程度であり、
難聴があっても
補聴器を使用することで
難聴による認知症リスクを
低減できるという結果に。
これらの関連性は、
全認知症と原因特異的認知症問わず、
(アルツハイマー病、血管性認知症、
非アルツハイマー病・非血管性認知症)
の両方で観察。
適切な難聴管理により
認知症の最大8%を予防できる3)
という仮説を踏まえ、
今回の結果から
認知機能低下を改善するため
緊急に難聴に対処する必要性が
浮き彫りに。
本研究では、
補聴器を使用しない難聴に起因する
認知症リスク割合は29.6%と推定。
補聴器の使用により
社会的孤立、孤独感、抑うつ気分などが
軽減され認知症が抑制された。
認知症の予防・介入・ケアに関する
Lancet委員会の2020年報告に記載されている図
によれば、
修正可能な危険因子は40%とされています4)。
難聴がある人のほとんどは補聴器を使用していない。
難聴は40歳代から現れる可能性があり、
認知症の前駆状態が20〜25年。
認知機能低下を抑制するために、
補聴器へのアクセスしやすさを高める
公衆衛生戦略、政府の対策が必要。
個人的には難聴がないか、
難聴のあるひとが
適切に補聴器を使用しているかどうかを
ぜひ確認してください。
【引用文献】
2)Lancet Public Health 2023; 8: e329-e338
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