「あれ、」



7月10日、午前0時30分。



誕生日、保乃ちゃんから祝われてない?



私の恋人である保乃ちゃんが、まさかの恋人の誕生日に30分経っても連絡をくれないというのだ。




こういうのって、0時ちょうどに長文を送ってくれるって思ってた。勝手にだけど。




「もしかして、寝てるのかな?」




メンバーには申し訳ないが、保乃ちゃんの連絡を最優先で待っているため、通知は来ているもの返信ができていない。




ずっと、保乃ちゃんのLINEのトーク画面を開いている。




昨日送った保乃ちゃんとのツーショさえも目を通してくれていない。


既読の文字が出ないことがこんなに悲しいのか。





ピンポーン




こんな時間に誰なんだろう。



保乃ちゃんだったらいいのにと、少し思ったりしている。





インターホンを覗くと、保乃ちゃんが息を切らしてひぃちゃんと呼んでいた。





「今開けるから。」





内心ウッキウキだ。でも、その気持ちを隠して保乃ちゃんを出迎える。





保「急にごめん……今何時?」




「0時30分。」




保「え……最悪。」





保「一番じゃないけど、ひぃちゃん21歳のお誕生日おめでとう。」




保「はあ……色々バタバタしてて……21歳のひぃちゃんを一番に祝いたかった……」




「ううん、保乃ちゃんが一番にお祝いしてくれた。」





保「え、ひぃちゃん、もしかして誰からも祝われてないん!?」




「違う笑、ずっと保乃ちゃんのトーク画面開いてて違う人のお祝いコメント読んでないの。」




「だから、実質保乃ちゃんが一番にお祝いしてくれたって訳。





保「保乃が一番でいいの?」




「え、一番が良かったんじゃないの?」




保「一番がいい。」




「じゃあ一番だよ、笑」




保「良かった……ひぃちゃんは保乃にとっての一番大切な人やから、一番に祝いたかった。」




「私も、保乃ちゃんに一番に祝われて嬉しいよ。」




保「あー、好き。世界一の彼女やわ。」







保「と言っても、今日からは彼女ちゃうんやけどな。」






「え、?」




森田、まさかの誕生日に別れを告げられるかもしれません。




保「もっとちゃんとした所で言いたかったんやけどな。」








保「保乃のお嫁さんになってくれませんか?








その言葉と共に差し出されたのは指輪。





「喜んで。って、え?」





保「まあ、実際にはお嫁さんにはなれんけど、お嫁さんみたいに保乃と一緒にいて欲しい。」




そして保乃ちゃんは、私の左手の薬指に指輪をはめる。




「え、なんでサイズ合ってるの?」




保「ひぃちゃんのことは何でも知ってるからね〜」





そして保乃ちゃんも、お揃いの指輪を左手の薬指にはめる。





保「これで結婚やな?」




「新婚生活しちゃう?」




保「新婚生活1、まずはお嫁さんを食べます。」




「食べても……いいよ……?」





保「その言葉、真に受けちゃうけどいいの?」






「食べてよ。思いっきり。」






結婚してからも夜な夜なお熱い新婚さんでしたとさ。







〈指輪のサイズが分かった理由〉



綺「森田さん、指のサイズ測らせてください!」



「え、なんで。」



綺「いいですか?いいですよね!」



「いや許可はしてない……」



綺「あー、ここはこれぐらいなんですか。ちっちゃいですね。」



「若干ディスってる??」



綺「測り終わったので帰ります!ありがとうございました!」



「いや早……」





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結婚おめでとう。幸せになりやがれ。


では。