「あ、あ…」





推しメンに壁ドンをされている。これはどういう状況だ。






理「私の事、好きなの?」




「好きです、、」






身長差もあまり無い。だからこそ顔が間近にあってしんどいのだ。






理「私のキーホルダー付けっぱなしだったよ?笑」





「えっ、本人の前で恥ずかしいです、、」






理「転校してきて良かったわ。こんな可愛いファンに会えたんだから。」






「…これは夢じゃないですか?」






理「うーん、夢じゃないよ。私とキスする?」






「何言ってるんですか!?」






理「ごめんごめん笑、いつものライブの煽りの癖出ちゃった笑」






ナベちゃんはいつもライブで『私とキスするかー!?』とかいう煽りをするため、それで恋に落ちるファンも多いらしい。






「そうでした、、アイドルですもんね、、」





高校生ではあるが、一応アイドル。






ナベちゃん呼びが定着しすぎて、この人の本名を忘れてしまった。推しの本名をやっと知れたというのに。





「どうしてこんなド田舎に引っ越してきたんですか?」





都会のキラキラ感を醸し出すナベちゃんは、どうしてこんなド田舎に引っ越してきたのだろうか。




どうしてこんな所を選んだのだろうか。





理「んー、公式発表されてないけど、」







理「私、卒業するの。」







「え!?辞めるんですか!?」






理「まあ、アイドルとしてやりたいことは沢山出来たからね。未練は無いよ。」






「そうなんですか、」






私はアイドルとしてのナベちゃんが好きだった。





正直ショックでしかない。煽りも聞けない…って目の前にいるから聞けるけど。





でも、キラキラアイドルしてたナベちゃんが本当に好きだった。







「ナベちゃん、卒業おめでとう。」






理「ふふっ笑、最初におめでとうって言われるのが由依ちゃんで嬉しいよ笑」






…由依ちゃんだって?え?推しメンに名前を呼ばれる世界線ってほんとにあったの??






理「あ、皆の前ではナベちゃんって呼ばないでね?」





「えっと…本名を忘れてしまって…」





理「推しの名前忘れたの!?笑」





「ナベちゃん呼びが定着しすぎて…渡邉だったのは覚えてるんですけど…」






理「渡邉理佐。理佐って呼んでくれるとナベちゃん喜ぶー!」






最初から呼び捨てはハードル高すぎない?しかも理佐って名前可愛すぎない?名前負けしない顔天才すぎない?間近で見るとキラキラしまくってるし顔小さいし私公開処刑すぎない?スタイル良すぎない?なんでこんな子が地下アイドルなの?世間に見つかってくれないかな?こんな五歳児が五歳児しまくってるアイドルこんな子しか居ないからね?え、語り出すと止まらないんだけど…






理「何ブツブツ言ってるの?オタク特有の早口ってやつ?」






ヤバい…心の声が盛れだしてしまってた…?







「嗚呼、理佐様今日も美しいです、いつになったら付き合えますか?」





理「バリバリオタク発動してんじゃん笑、可愛いのに面白いとか最高笑」







え、私可愛くないからね?ナベちゃんと並んでたら私本当に顔面公開処刑すぎて泣くよ?面白いのはナベちゃんの方ね?ナベちゃんに似てしまったのが多分原因だからね?元々は面白くないからね?ナベちゃんのせいだからね?







理「はーやーく!理佐って呼んで!」





「…り…り……理佐…。」





理「よく出来ました!」





頭をポンポンされた。こんな世界線あったんだね。意識が朦朧として倒れそうだよ。推しメンのせいで失神するかも。






理「あと、いつになったら付き合えるって質問だけど。」





理「今から付き合う?」







「え…?」







推しメンに、告白をされた。