今日、由依をデートに誘った。
付き合ってはないけれど、デートと言った方が私的に響きがいい。
デートと言っても、夜道を歩くだけ。女二人で歩くというのは少し怖いが、家の付近だから大丈夫だろう。
そんな私は、由依の家の前で由依を待っている。
時間にしてはたったの数分。でも、会いたい欲が溜まりすぎて数十分も待っているような感じがする。
由「ごめん、待たせた?」
待った。すごい待った。
でも、由依の私服を見たらどうでも良くなった。
「…ううん、全然大丈夫。」
由「ほら、行こ?」
そうやって手を差し伸べる貴方に、恋をしている。
「由依の私服可愛い。」
由「理佐の方がファッションセンスあるよ、今度一緒に服買いに行かない?」
「行こっか。」
こうして、またデートをする事が確定した。最高。
ここで私は、告白をすることにした。
ずっと決めていた。
今日、告白すると。
「…月が綺麗ですね。」
ストレートに言えない。だからこそ、この言葉を選んだ。
由「急に敬語使うの何、笑」
もしかして、知らない……?
由「まあ確かに、月は綺麗だけど〜」
由「月ってさ、なんで私たちに付いてくるんだろうね。」
急な質問に戸惑う。そして、話を変えられたことにも戸惑う。
「由依が、世界の中心だから?」
由「何言ってんの笑、私は世界の中心じゃないですよ〜」
煽られている気分だ。
由「じゃあ、理佐は私の人生の中心かもね。」
「…ん?」
由「私、死んでもいいわ。」
その日の月は、私たちを照らすかのような満月だった。