保乃ちゃんとの出会いは、変だった。
保乃ちゃんは道端に横たわっていた、しかも手には缶ビールを持って。
私はどうしよう、と悩んだが、この人がずっとここに居ると風邪をひいてしまうのではないか、そんな心配が頭をよぎった。
放っておけなかった私は、この人と話をすることにした。
「あの…大丈夫ですか…?」
保「ほのな、彼氏に振られてん、」
保「彼氏に、捨てられた、」
急な話の展開についていける訳もなく、もう一回聞き直してしまった。
「えっと、彼氏に捨てられたんですか…?」
保「そうや、やから拾ってくれへん?」
なんだこの人、と思ったが、彼氏に捨てられたのが真実であるのなら可哀想だ。
「拾うって…家ないんですか?」
保「親とは縁切って、ずっと彼氏の家おったん、、やから家なんてないで、、?」
「…分かりました。」
この人は本当に捨てられたのだろう。
見ず知らずの人を家にあげるのは正直怖い。
だが、この人は見た感じいい人そうだ。
まあ、ただの見た目だけの判断だけど。
「立てますか?」
保「ん、はい、」
あまり酔ってはいなかった。お酒臭いけども。
保「名前は?」
「ひかるです。」
保「ひかるちゃん、可愛ええ名前やな。」
保「保乃って名前だから、好きに呼んでな。」
「保乃…さん。」
保「ほの、さん付けは嫌いやから、ちゃんとか呼び捨てがいいな…とか思ってん。」
この人は要望が多いな。
「じゃあ保乃…ちゃん?」
保「うん!可愛ええな!」
おかしい人だ。初めて見た人種だ。
でも、横顔は可愛いし、私より背は高いし、、
好みだな…とか思ったりして。
謎な人と、そんな謎な人を拾った私の、謎の同居生活が始まるのだった。