【8984】大和ハウスリート投資法人(東証REIT) OP
現在値 244,100円/1株 P/E 24.0 P/NAV 0.74 2月分配 8月分配
大和ハウス工業をスポンサーとする総合型。物流施設、住居、商業施設及びホテルを組入。
予想分配金は2月末・8月末の年2回合計12,050円配で、分配金利回りは約4.94%となります。
業績を確認します。
■2022年8月期_第33期 営業収益 293億円、経常利益 110.5億円 DPU 5,617円
■2023年2月期_第34期 営業収益 294億円、経常利益 111.2億円 DPU 5,649円
■2023年8月期_第35期 営業収益 299億円、経常利益 112.2億円 DPU 5,643円
■2024年2月期_第36期 営業収益 296億円、経常利益 103.7億円 DPU 5,711円(4/16)
□2024年8月期_第37期 営業収益 319億円、経常利益 121.8億円 DPU 5,750円 ce修正
□2025年2月期_第38期 営業収益 321億円、経常利益 113.8億円 DPU 6,300円 ce
2024年2月期_第36期の落着は、営業収益は第35期比▲0.9%の296億円、経常利益は同▲7.5%の103.7億円と下振れた一方、分配金は同68円増配となる5,711円となりました。期中取得のMIMARU東京八丁堀、DPL門真Ⅰが一部寄与した一方、第35期の名駅南住宅の売却益が剥落し、トータルでは減収となりました。他方、第37期での売却が決定しているDPJ上三川の減損計上(▲8.9億円)影響で減益となったものの、見合額をATAで全額手当てし、住宅賃料の上振れや修繕費削減等の分の反映で出来上がりの増配を確保しています。
進行中の2024年8月期_第37期の見通しも修正しており、営業収益が第36期比+7.9%の319億円(従予:305億円)、経常利益は同+17.4%の121.8億円(従予:113.5億円)、分配金は同39円増配の5,750円(従予:UNCH、うち:ATA435円/OPD62円)を予想しています。DPJ富里の売却益(14.3億円)を計上するほか、期首取得のDPL浦安(300億円/鑑定NOI3.5%)のフル寄与、違約金収入が増収寄与し、“損出し”案件となるDPL上三川(▲6.0億円)の売却損を飲み込みます。
今回初公表となる2025年2月期_第38期の予想は、営業収益が第37期比+0.5%の321億円、経常利益は同▲6.6%の113.8億円、分配金は同550円増配の6,300円(うち:ATA1,360円/OPD35円)を見込みます。会計上はDPL久喜Ⅱの売却益(23.3億円)を計上するものの、旧DHR買収時の物件時価引継ぎ影響で税務上の売却益が5億円程上振れることから、税会差をATAで手当します。そのため、見えがかりのP/L以上に分配金が膨れる格好となります。
当法人は2016年の大和ハウスレジREITと大和ハウスREITの合併により総合型に改組し、AUMは既に9,300億円を超過する規模となっています。物流とレジデンス割合が高く安定度が高い一方、物流業界の賃貸需給悪化による再営業難化や固定賃料期間が長いことからインフレ感応度が低く、調達金利上昇によるスプレッド低下にも弱い特徴があります。また、スポンサーである大和ハウスは同社の資本効率向上のため、昨年9月に当社株10万口(@256,856円)を売出で放出している経緯もあり、以来P/NAV倍率は0.7倍台前半(のれん考慮で実質0.7倍台後半)まで放置されています。
かような状況から当面はPOを実施することは困難であり、大和ハウスに対する第三者割当増資も(PO時の親引けも)期待出来ないことから、手詰まり感が非常に強い状況です。そのため、ホテルをクライテリアにくわえ、インフレ対応型の変動賃料獲得を目指すほか、今後はパイプラインを活用した物件入替に注力するほか、顕在化させた売却益を活用した自社株買いを実施する方向性を示しています。直近の自社株買い規模は僅かに30億円(0.6%)ながら、投資主価値向上を企図したこのような取組が継続的に実施されるかどうかが当面の投資論点と言えそうです。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。