【9842】アークランズ/かつや完全子会社化も、ホームセンター事業低調で中計は未達濃厚。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9842】アークランズ(東証プライム)  NT

現在値  1,922円/100株  P/E 9.95 P/B 0.93  2月配当優待 8月配当優待

新潟地盤のHC『ムサシ』が中核、20年にLIXILビバ買収で業界5位。傘下に外食子会社。

配当は2月/8月の年2回、合計40円配当のため、配当利回りは約2.09%となります。

 

アークランズは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末時点の単元株主に対して2,200円分の自社商品券を進呈しているため、配当優待利回りは約3.22%となります。

業績を確認していきます。

■2022年2月期 売上高 3,571億円、経常利益 232億円、EPS 404.2円 

■2023年2月期 売上高 3,134億円、経常利益 189億円、EPS 238.2円

■2024年2月期 売上高 3,106億円、経常利益 165億円、EPS 177.1円

■2025年2月期 売上高 3,150億円、経常利益 190億円、EPS 192.5円 ce

□2024年8月2Q 売上高 1,574億円、経常利益 104.0億円、EPS 104.3円 ce 

2024年2月期の売上高はYoY▲0.9%の3,106億円、経常利益はYoY▲13.5%の165億円となり、対前・対当初予算で減収減益となりました。住関連事業は巣ごもり一巡により園芸用品が低迷したほか、暖冬による季節商材の低迷、ビバホーム会員セールの回数減等によりSSSは97.0%に低迷しました。他方、外食事業については積極的にフェアメニューを投下した「かつや」のSSSが108.9%と好調だったほか、競合激化の「からやま」も同99.8%と前年並みを確保しています。


進行期である2025年2月期の予算については、売上高がYoY+1.4%の3,150億円、経常利益はYoY+14.5%の190億円を予想してます。住関連事業については値上げ効果とトレーディングダウンによるPB商材の構成比増を見込み、SSS自体は100%と横ばい前提とする一方、ミックス改善効果で利益は2桁増を予想しており、出店はペットとプロ向けを中心に純増6店の計画です。好調続く外食事業については、内外で59店の店舗純増を計画しており、通期で安定的に当社業績を押し上げることが期待されます。

 

当社は2025年2月期を最終年度とする4ヵ年中計で、売上高を3,266億円→3,800億円に、経常利益を221億円→250億円に引き上げる計画とするほか、2031年2月期を終期とする長計で最終的に売上高5,000億円&経常利益400億円を目指す計画です。取組事項は①売上高伸長、➁粗利益率改善、③販売管理費低減の3点を挙げており、ビバホーム買収まで反映しているものの、ALS(3085)の完全子会社化影響は未反映となっています。

 

①の売上高は、ビバホーム102店込みで計画当初146店だったHC店舗数を156店に引きあげることとし、年間4~5店を出店する方針です。特にビバホームはムサシとは異なり、従来型HCのような単独店だけでなく、一棟居抜きのモールやビルインのテナント出店も出来ることから、ドミナント方式での出店を推進します。

 

②の粗利益率改善は、PB構成比40%を目指し、一般向け消耗品といった汎用商品だけでなくプロ向けの独自性のあるPB商品の開発を目指します。PB開発組織を立ち上げ、キッチンやバス、インテリア等住生活商材を拡充させた結果、足許のPB構成比は22.7%まで拡大しています。

 

③の販管費低減はビバホームとの物流拠点統合、海外調達ルートの一元化、BIシステムの活用等により統合シナジーを顕在化させることとし、34%程度だった粗利益率を今次中計期間で36%に引き上げるほか、最終的には37%を目指します。以上3点に取り組むものの、円安による仕入原価増や、計画策定時期が新型肺炎禍の“巣ごもり”で特需期だった点、また完全子会社化したALSも少数株主持分控除が消えるだけ(経常利益増には繋がらない)ため、中計の達成はかなり困難と解されます。

 

財務状況については、ビバホーム買収・ALSの完全子会社化後の目下の自己資本比率は33.2%であり、一定水準を維持出来ています。他方で配当については、安定配当ポリシーから横引きの年20円配当(配当性向20.8%)を予想しており、還元余力があるものの、当面は買収資金の借入金返済に回すものとみられ、相応幅の増配には要時間と解されます。

 

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