品川発24歳ギラギラテクニック -2ページ目

第7話

泳ぐコースは早いもの順に第1コースから数名ずつに分かれる。


海は勿論1コースを泳ぎ、そこには貴司、テツ、淳という精鋭が揃っていた。


そして1コースを泳ぐ人は、もう一人いて・・・、


誰よりも先にプールに入り、飛び込んでいたあの彼女だ。


ようやく、例の彼女について触れることにする。


第6話

この子の名前は海と書いてマリーンと読む。


親の顔が見てみたいとよく陰口を叩かれているが、


実際会ったことのある私が見るにどこにでもいる普通の親だ。


と、書きつつも少しの同情と憧れが入り混じる。


私の由香という名前はまあまあでしょうか。


あなたはどのように子供の名前を付けますか?


そこでも妥協したりするものなのでしょうか?


私は自分の子供の名前を考える時、


幸せを感じていますでしょうか?


微妙な親? 


仮にそうであっても、いちいちウルサイこと言う人は


医者に 「微妙に癌っぽいですね」と言われて大いに悩めばいい。

第5話

とりわけ先輩後輩の関係が緩い

我が水泳部だけに、統制することは難しく


総じてレベルの高いチームであったが、


練習の質は個人のモチベーションに大きく委ねられていた。


中でも一個下の2年の海は練習をサボることが多く、練習に来ても


ヘッドフォンをしては漫画を読んでいる光景がしばしば見受けられた。


ただ憎めないのは何故だろう。


彼女は誰に対しても甘え上手で、そして実力があるためだろうか。


海は水泳雑誌に登場することはざらで、

同年代の中ではトップスイマーであることは間違いない。


この日も海は私の膝の上にチョンと座り、

愛らしい横顔を私の肩に乗せ、

「眠いんです~」 と、へばり付くように話しかけてきた。

可愛らしい子だ。

こんなんでよく泳げるなと思うくらい細い腰で

唯一、おしりと太ももがふっくらとしていた。

決して筋肉質ではないが手首や肩、足が柔軟な子だった。



彼女からタバコのにおいがするのが

少々気になってきたが・・・。


第4話

「ごめ~んヤス、大丈夫?」 と呟くと、


「・・・・」とブルーな表情。プールから上がり、私の背後へ回ると


口に含んだプールの水を私の頭の上にビチャッと吐き出した。


「下に水着着てんだよ!」とヤスは勝ち誇って言った・・・。


そうこれが私と同学年のヤス。少し小柄で痩せていて、

チビキャラが定着しているが


極端に小さいわけではない。泳ぎは初心者だが。



そうこうしてるうちにメンバーが揃い始めた。


プールサイドでストレッチしているのが貴司とテツで、

実力は2人とも全国クラスである。


すでにプールに入って


ポカリを飲みながら仰向けで浮いているのが頭脳優秀な陽介、


コースを仕切るロープに寄りかかってお喋りしているのが綾と有希だ。


コーチ室を覗くと淳が今日の練習メニューを見つめていた。


クールなやつで頭も良く、顔も私のタイプだが、


モテ過ぎて色んな噂が飛び交っている・・・そんな人。


顧問の先生はというと、シーズン前の4月の陸上トレーニング中に転んで、


色んな骨を折ってしまったらしい。


今は退院して自宅療養中である。


関東大会が刻々と迫ってきたが、緊張感のない練習が続いていた。

第3話

水着に着替えて、シャワーへ向かった。


カチコチでなかなか開かない蛇口を力いっぱいひねると


4ラインあるシャワーの全ての穴から


すごい水圧で水が出て、床のコンクリートを打ちつけた。


思わず笑っちゃった。


床から跳ね返る水しぶきが


遠くのタイルを点々と濡らして行き、


プールサイドの掃除当番のヤスに気づかれた。


とりあえずボケてみようと思い、強烈なシャワーの下に入り、


両手でサイドの髪の毛を洗う仕草をしてみた。


スタスタと近づいてきたヤスはニコニコ笑いながら、


「水たんないでしょ?」


と言い、掃除用の太いホースを私に向けて水を発射してきた。


そんなかわいいヤスのホースを取り上げて、追い掛け回すと


仕舞いにはヤスの足がもつれてプールに落ちてしまった。


コロッケに間違ってお醤油をかけてしまった時と同じように


あぁやっちゃった、と思った瞬間であった。


さあどうする。