「昨日ラブに行ってきました」
唐突に話しだした臼井君。
「なんの話 伊藤君?」
「独り言じゃないですか」
「ラブですよ。ラブ。知りませんか?」
LOVEとはもっと縁遠い男のLOVE連発。
「どうする。無視する?」
「伊藤君、それは何ですかって聞いてくれる」
メンドクサイケド聞いてやって話が続かないから。
「それはなんですか。臼井さん」
「電機屋さん、知らない?」
「聞いたことないです」
「そんなローカルな横浜チープな話されても東京人にはわからないよね」
「えっ、ラブって東京にはないんですか?」
「聞いたことないです」
なんだか怪しいよ臼井君ひょっとしてそれってーーーー
「L A Bですよ。知りませんか?」
やっぱりそうだったんだ。途中からなんとなく怪しいと思ってたけど。
呆れた眼差しの安田さん
「伊藤君、言ってやって」
「臼井さん、LAB じゃなくてLABIでラビです」
「えっ、LABI」
「はい、ヤマダ電機です」
「そうなの」
「今度よーく見てください。I がありますから」
にやにやしてるよ、なんか勘違いしてない。
「I がある。なんか照れるな伊藤君にそんなこと言われると」
「ばっ かじゃないの、愛のないIだから」
「安田さんにはわからない、心の通い愛が僕と伊藤君にはあるんですよ。ねっ伊藤君」
「ないです。なんにも」
「いやーごめんごめん、安田さんの前では言いにくいよネ」
「ばかばかしい、それでラビに行ってどうしたの」
「えっ? それだけです」
「ラビに行った。それだけのためにこの無駄な時間費やしたの」
「えっ、安田さんそんなに期待なさってたんですか私の話を」
「もういい、それ以上発言しないで、切れそうだから」
「やーっ 照れますね。安田さんがそんなに僕に期待されてるなんて」
く空気読めてない臼井君。
どんよりグレー色の空気がピンク色に見えてしまう君が、たまらなく好きだよ。
それって君が色弱だからかな。