僕の隣でデータ抽出用の専用パソコンで作業を始めた臼井君。

いつもながら違和感を感じる。

なにかあるはずだ、疑わずにはいられないこの小姑みたいなイヤーな性格に誰がした臼井君。と問いかけながら材料を探す。

ああっ、もう見つけてしまった。早っ。

ワイシャツの袖に黒々した汚れの黒輪。

「汚い袖だな、何日着てる?

袖をまじまじ見てニヤリと笑う臼井君。

「これですか、洗っても染み込んで落ちないんですよ」

「捨てるだろう。そんなになったら」

「いや、まだ大丈夫です。多分他の人も着てますから。亀マネを除いて全員」

そんな汚いワイシャツ着たやつみたことないよ。見渡す限りいないはずだ。

「近年稀に見る汚れたワイシャツだよ。今日処分しな」

「ええーーーっ、それは、死活問題ですよ亀マネ」

「なにが死活だよ。ポリエステル100の一枚1980円だろう。いや1500円か」

1980円です。」

「兎に角見るのも汚らわしいから二度と着てこないように」

汚れの黒輪を名残惜しそうに見つめる臼井君。

後ろから汚いもの見たさに覗き込む安田さん。

「うわ、汚い」

「安田さん、それセクハラですら」

安田さんには従えない臼井君。速攻言い返す。

「そんなシャツ着てることが私に対するセクハラだよ」

「どう思います亀マネ、安田さんって愛がないですよね」

「アノサー、亀マネみたいにサポーターしたら」

「えっ、亀マネってサポーターしてるんですか」

「知らなかったか?

「サポーターってこれですよね」

頭の上で手を振る臼井君。

「なんでしょう。亀マネ」

そう聞かれて答えられないな。

「サッカーのやつですよね」

「はあーーーーーっ」

腰砕かれた安田さん。

「違うんですか?

本気だったのか臼井君!!!!!!!!!!

伊藤君頼むという安田さんの流し目。

「臼井さんリストバンドですよ」

「リストバンドってなんですか」

「これだよこれ」

実物行使に出た亀マネ。

「ああーー、それリストバンドって言うの伊藤君」

「サポーターとも言いますよ」

「見たことあります。見たことあります。名前は正直知りませんでした」

安田さんが亀マネにぽつり。

「ワイシャツの襟からサッカーのサポーターって、どういう遺伝子構造なんでしょうね臼井君って」

「安田さんなんか言いましたか」

「なにもーーーーー」