上高地はすっかり観光地化され、昔の「山の雰囲気」を私たちは奪ってしまった。
田淵行男の『黄色いテント』や芳野満彦の『完本 山靴の音』に描かれている
過去の上高地とはずいぶんと違う場所になっている。
多くの人々は上高地を「観光シーズン」に訪れ、上高地の特定の面だけを見る。
そして「人が多い」とか「山ではなくて観光地」とかいう印象を受けるようである。
しかし時期を選べば本来の静かな上高地の「山の雰囲気」を感じることは可能だ。
僕は2018年の開山期間をずっと上高地で過ごした。
その結果、4月中旬の県道上高地線開通からゴールデンウィークの前までの
約10日間が上高地を楽しむには最善の時であるとの考えに到った。
まずこの時期は人が少ない。
まだ雪が散策路に残っているので観光客はほとんど来ない。
また夏鳥も上高地に渡ってきていないのでバードウォッチャーも少ない。
花のシーズンには早すぎるので草木の花を目当てに来る人もいない。
来るのは少数の登山者くらいだ。
そして春の気配を感じ始めた上高地は美しい。
見上げると雪をしっかりと被った穂高連峰が連なる。
残雪の白と空や川の青とのコントラストが美しい。
また足元に目をやると様々な草が目覚め始めている。
気の早い花を見つけることもできるかもしれない。
静かな上高地を歩き、立ち止まり、耳を澄ませてみる。
人の声や足音は一切聞こえない。
100%自然の音。
早春の澄み渡った凛とした空気を思い切り吸い込む。
4月中旬の県道上高地線開通からゴールデンウィークが始まるまでの
静かな上高地を訪れてみてはいかがだろうか?
ただし例年4月27日に行われる開山祭とその前後は人が一時的に増えるので、
避けると良いだろう。


