終電間近の京浜東北線。
酔っ払って寝ているおじさんと、
誰にキレてるのだろうか、舌打ちばかりする人。
他人の目を気にせずイチャイチャしてるカップル。
ベタベタと脇目も振らずに愛を営んでいる。
いつか別れる。そんなことを考えたこともないように。
堪らずイヤホンをつける。
辺りの音を閉め出して一息つく。
少し暑い電車内で額に汗が滲む。
酔っ払ってグラグラする気持ち良さに浸る。
もう春はすぐそこだ。
花粉は我が物顔で飛び回っているし、
駅のホームで潰れて寝ている中年の男が春の訪れを感じさせる。
春は好きだと当時のあの子は言っていた。
イヤホンから流れるあの子が大好きだった歌。
あの子と歩いた街並み。
無理した笑顔。
これでお別れかと呆気なかったことを思い出す。
なんでこんなことを思い出すのだろうか。
もしかしたら僕も、春が好きなのかもしれない。
やあ、春。
せめてしばらくはそこにいてくれよ