春の雨の匂いが好きだ。
土の匂いと言うか、大地の匂いと言うか。
懐かしい気持ちがする。
空がだんだんと暗くなって行く。
次第に雨の匂いがし始める。
雨が降る。
雨が降り続くとあの匂いはしなくなる。
小さい頃、教室のベランダでよく雨の中の校庭を見ていた。
水たまりが出来ていて、土砂降りの雨の中でも構わずにサッカーをする同世代の子供がいた。
みんな汚れた球を追いかけて走って転んで笑っていた。
なにが楽しいのか、冷めた気持ちのままいつも疑問に思っていた。
雨の匂いがすると、
そんなことを思い出す。
思い出す景色はいつも決まって夕方で薄暗くて、
楽しかった記憶は無い。
それでもなぜか鮮明にこびりついたままだ。
今はもう僕が通っていた小学校は廃校になってしまったし、あの時サッカーをしていた子供たちはみんな社会に出て、当時の熱中していた気持ちなんて無かった事のように日々を浪費しているのだろう。
春の雨は好きだ。
昔から変わらずに土の匂いがするから。