バトー『一つ聞かせてくれ。今の自分を幸福だと感じるか?』
素子『…懐かしい価値観ね。少なくとも今の私に葛藤は存在しないわ。孤独に歩め。悪をなさず、求める所は少なく、』
バトー『林の中の象の様に。』
「良き伴侶を得られない場合は、孤独を貫け 孤独に歩め 悪をなさず 求めるところは少なく 林の中の象のように 」
仏陀は、この一節で”孤独”が必ずしも不幸に結び付くわけではないことを説いた。
良き伴侶と出会えることは喜ばしいことだが、出会えなかったからと言って決して不幸になるわけではない。
求めるものが少なければ、不幸になることも無く静かに安寧に生きていくことが出来る。
作中では、少佐と結ばれる事のなかったバトーに向かって荒巻が、そして再びネットの深淵へと消えていく素子が、バトーへこの言葉を言っている。少佐と結ばれず、孤独に生きる道も、多くを求めなければ決して不幸ではない。
このセリフはそのことを表していると考えられる。
出典:中村元(訳)法句経日本語訳『ブッダの感興のことば』文庫版