出過ぎたこと…、共に前へ | 〜 シゲさんの「疾風勁草」ログ 〜

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2014.6.1~ReNew!

〜Photologue〜

写真一枚からの日常ログを書き綴っていきます。

それと、、、(不定期になりますが)
東日本大震災から丸三年が過ぎた今、自身で経験したボランティア活動を一枚の写真から振り返っていきたいと思います。

~ シゲさんの「疾風勁草」ログ ~


9月8日(金)、宮城県七ヶ浜町、「表浜」の目の前にある活動現場です。


この日も午前中の時点で30度を超す暑さ。。。


作業前に休憩所とするテントを張りました。


なにせ外にペットボトルを置いておくとあっという間に白湯のようになります(苦笑)。


作業前、関西アミー号の若者たち(大学生)にテント張りをお願いしました。


遠くから、”え~っ”という小さい声が聞こえます(笑)


どうやら、、、

若者たちにとっては、テント張りも初めての体験だったようです。


 ”そこにペグを打って・・・”


という言葉が通じません。。。

でも、これも大事な社会勉強だと思いました。


ロープを張って地面に打ったペグに結びつける。このペグの角度やロープの結び方など、とても重要なこと。適当にやっては少しの風でテントが飛ばされてしまいます。


我々にとって当たり前の事でも初めての方にとっては貴重な野外活動体験。


非日常的な畑の中での瓦礫拾いと合わせて、こんなことも持ち帰って欲しいと思い、一緒にテントを設営しました。


出来上がった時の”おーっ”という小歓声(笑)。


作業開始前、爽やかな風が吹きました。



   *   *   *



今思えば、まったく余計なことかもしれないし、出過ぎたことだったかもしれません。


いや、その時点で出過ぎたことであることは気付いていました。


でも、そうせずにいられなかったのです。



拾った石や瓦礫を山にしていた畑の中で、最後、”ふるい”をかけて選別作業をしていた時のこと。


ご一緒していた方と何気ない会話となりました。


私はすっかり学生さんだと思っていたら、そうではないと。


会話の先、宮城はお酒が美味しいのかという話になり、ここ七ヶ浜の近くには宮城でも有名な「浦霞」というお酒があって、その蔵で使う仕込み水はここ七ヶ浜にあるのだという話をご紹介しました。


すると、その方、それでは義父へのお土産にしようかと。。。


それはいいと、ボラセン近くのヤマザキショップで買えることをお伝えしたのです。


~ シゲさんの「疾風勁草」ログ ~


その方はTさんといいます。


義父という言葉からご結婚されていると理解しました。

また、学生さんと見間違うほどお若い方だったので、


 ”ご主人、ここ宮城まで送り出してくれていいですね”


と少しくだけた問いかけをしたところ、、、


衝撃を受けるお話になりました。



昨夏、関西でも電力不足となりその影響から公共交通機関の間引きがあり、その日は自分のバイクで通勤したのだそうです。


その途上、事故に遭い、亡くなったのだと。



淡々と話してくれました。


一年間は辛い毎日だった、そして、今回、ようやく被災地に来れたと。



私はそのとき、ただ、今回来てくれてありがとうとしか言えませんでした。




   *   *   *



作業が終わり、帰りの車の中、信頼できる友人であり、この日現場リーダを一緒にやった小野寺さんに、


 ”まったく出過ぎたことだけど・・・・”


と相談しました。



きっと、ツアーバスで来られたTさんはヤマザキショップに浦霞を買いに行く時間はないと思いました。


私が浦霞を入手してTさんに届けたいんだと、相談してみました。



小野寺さんも同乗していた高木さんも賛同してくれました。


そして、その足でヤマザキショップに行き、Tさんのご主人、義父さんへのお礼として、宮城でしか買えない浦霞を選びました。


そして、帰り、ツアーバスの出発前、私と小野寺さんと二人で、Tさんにお渡しすることが出来ました。



   *   *   *



人様の肉親への過分なる介入は余計なことかと思います。


当人はそんなつもりで事情を話しているわけではないし、たまたま会った人間に同情なんかされたくもないと思います。


そんなことは百も承知で仲間に相談しました。


仲間がやめた方がいいと言っても、、、やっていたかもしれません。。。


でも私の思いを静かに賛成してくれました。



今でも出過ぎたことだと思います。


余計なことだったかもしれません。


たかがお酒1本。気にすることはないかもしれません。



でも、宮城の美味しい地酒を、遠く関西から来てくれた新しい仲間に、持ち帰ってもらいたいと、ただそれだけを思いました。



被災地も沢山の人の手を借りてがんばっています。


自らも、明るく、歯を食いしばってがんばっています。


そして、私たちも、これからも共にがんばり続けたいと思います。



だから、Tさんも、共に前へ!



-END-