みなさま、こんばんは。
今日は、久々に平和な1日でした。
この3週間、突如、救急車がやってくるという怒涛の日々を過ごし、「もしや私から救急車引き寄せ電波が出てるのでは?」(笑)と疑うほどでした。
今日はそんなこともなく穏やかで、山のようにたまっていた書類の一部も片付けることができ、病棟の患者さんと約束していたアロママッサージもできたし、満足度が高かったです。
実は、私、ばーちゃんが大好き。
いつも「あー、可愛いばーちゃん来ないかな」と呟いています。
今でも話すと泣けてきちゃうんですけど、私の中で「大好きなばーちゃんランキング」1位のばーちゃんがいました。
歯が丈夫なのが自慢で、8020(80歳で20本以上歯が残っていること)キャンペーンで、表彰されたこともあって、特技は「かみ技」。
なんでもかんじゃうんです。
しかも、「にくたら可愛い系」ツンデレぶりがもうたまらなく可愛く、憎まれ口も叩くのですが、私的には好きで好きで、毎日そのばーちゃんのところにいる時間が異様に長かったです。
ところが昨年、新型コロナに感染して、ばーちゃん、亡くなってしまわれたのです。
私の喪失感は半端なく、いまだにロスの状態は続いています。
そんな中、最初は全然ストライクゾーンに入っていなかったばーちゃんが、入院して1ヶ月ほどして、いい感じに「こなれて」きたんです。
最初は主治医の私に悪態をつくだけでしたが、最近はお互いの信頼関係も少しづつできていて、昨日はついに「先生、ご苦労様」って言ってくれたんですよ(じい〜ん)。
でも、憎まれ口は健在で、いろいろ文句言ってくる姿が可愛くて。
それを、「そうか、そうか、うんうん」って聞いていたら、ふと思ったんですよ。
「可愛いばーちゃんが向こうから来るのを待ってるだけじゃダメだ!これからは(にくたら)可愛いばーちゃんを養成するのだ!」
それで、ひとまずもっと仲良くなろう、と決めて、今日はお近づきにアロママッサージでもしようかな、と思って本人にやって欲しいかどうか聞いたら、「やりたい」ということだったんです。
そして、
「香りがあるものは好き。香水とか」
と教えてくれました。
それで、私が以前作ったアロマのマッサージオイルを持って行って、どれがいいか聞いて、そのオイルを使ってひとしきり首や肩、ハンドマッサージをしました。
「いい匂い」
「気持ちいい」
と、
すごく喜んでもらえて、私も嬉しかったです。
やっぱり、病院勤務医の醍醐味って、入院患者さんと触れ合えることだと思います。
日本に帰ってくるまでの20年近くは、外来診療だけを行なっていましたが、心の奥底でどこか満足していませんでした。
今ははっきりわかります。
私は、入院患者さんのことが好きなんだなあと。
だから、満足感があるんですね。
そしてね、わかったことがもう一つありました。
『論語』でいう仁について。
自分が仁を実践しようと思った時には、すでにその対象から自分が「仁」を受け取っているんだということ。
こんな一節があります。
子曰、苟志於仁矣、無惡也。
ーー『論語』里仁第四
孔子先生は言われた。
少しでも仁を志していたら、悪だくらみなんてする必要がなくなるものだよ。
そうなんです。
お互いが「仁」でつながりあっていたら、その関係性に悪いものが入り込む余地なんてきっとないんですよね。
だから、一方通行の仁ではなく、お互いが仁を育み会うことが必要なんだな、と思います。
かみ技が得意なランキング1位のばーちゃん。
食事が美味しすぎて、最近ふくよかになって膝が痛くなった第2位のばーちゃん。
「この病院はサービスわりいんだ」と文句が挨拶代わりで、頼み事には全く遠慮がない第3位のばーちゃん。
アロマが大好きなばーちゃんにもランクインしてもらうために、明日も病棟に行っていろいろおしゃべりしようと思います。
それではみなさま、おやすみなさい