おはようございます。
女子兵法部、部長の本橋です。
精神科の薬、というと抵抗や恐怖感を感じられる方もいらっしゃることかと思います。
もちろん、飲まなくて良いに越したことはありませんし、不要な薬を押し売りするようなことも決してありません。
ただ、統合失調症のように病気の性質上、言葉での治療だけでは無理なケースもあります。
中井久夫先生は、詳細な観察を行なった上で、言葉や絵画など薬ではない方法でのアプローチを重視した精神科医です。
中井先生のすごさは、精神医学のみならず、司法、軍事、地政学などにも精通していたこと。
その全容は一度でとうてい紹介しきれるものではありませんが、中井ワールドを少しだけのぞいてみましょう。
『最終講義 分裂病私見』
*分裂病は現在は「統合失調症」と呼ばれています。
薬物療法は精神療法の援軍である
一般に分裂病の精神療法は、薬物療法が登来してから普通の精神科医が行う実際のプログラムに乗りました。
それまでは異能の治療者だけが少数の患者を相手に全生活を犠牲にして行うものでした。
精神療法は薬物療法の援護下に行うものといってよいでしょう。
昔はそれこそ、フロイトやユングしかり、歴史に名を残すような心理学者や精神科医は「異能=サイキック」といってもよいくらいの
飛び抜けた直感力とユニークな着眼点で「精神という名の未開の地」を果敢に開拓してきたわけです。
けれども、そんな天才は限られていますし、診られる数にも限りがあります。
私が精神科医となった90年代は、様々な精神科薬がすでに登場していたものの、副作用も強く、後遺障害の問題に頭を悩ませていた時代です。
ひとつの「分水嶺」となったのが2000年で、以降は主作用が際立ち、副作用がほとんど目立たない、後遺症を残さない薬が開発されるようになりました。
特にこの3、4年が顕著で、たった一剤でびっくりするくらい良くなる症例もあります。
そして、それを後押ししているのがインターネットの普及です。
オンライン講演会や研修会などでの精神科医同士の交流も活発となったことで、より効率的で安全性の高い使い方をアップデートできる機会が格段に増えました。
同時に他院の医師やコメディカル(薬剤師、看護師、臨床心理士、精神保健福祉士など)とも共有しやすくなりました。
さて。
薬剤も大切ですが、それ以外の方法も大切です。
今日は午前中、病棟をまわってきます。