おはようございます。

 

女子兵法部、部長の本橋です。

 

 

今日は趣向を変えて、『塩鉄論(えんてつろん)』から。

 

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これは、兵法書ではなく、前漢時代に塩、鉄、酒の専売制度を廃止するか否かをめぐって繰り広げられた激論を記録したもの。

 

専売制が前漢の時代からあったことも驚きでしたが、議事録を書くことで伝え残していこうという古代中国の熱量や2000年もちゃんと残っていること自体に圧倒されます。

 

また哲学書や医学書、兵法書とは趣が異なり地名が多く出てきたり、論点は専売制存廃なのだけれども、古典や故事からの引用が大量であること、歴史や外交、政治、財政、学問のあり方、社会問題、思想や人格論など多岐に渡り、書物としてはバリ硬の堅焼き煎餅級。

 

というより、水分を全く含まない鋼板のようなスルメを噛んでふくめてこなす作業、といった方が正しいかもしれません。

 

 

女子兵法部の朝練として、毎日中国古典を読んでますが、いやあ、今日は本当に「女子兵法部 朝練」的なハードな朝です(笑)

 

 

そんな『塩鉄論』ですが、「言うは易(やす)く行うは難(かた)し」、「窮鼠猫を噛む(きゅうそねこをかむ)」などの出典ともなっています。

 

 

「言うは易(やす)く行うは難(かた)し」の原文は、『塩鉄論』巻第五 利議第二十七にあります。

 

言之易而行之難

 

 

確かに、政治で公約というのがありますが、おおやけの前で約束したものを、様々な利害関係の間をぬって実行するのは難しそうですよね。

 

 

ただ、私としては言葉の重みやと劇物・毒物的側面というものが大きな作用を持っていることを、時には痛みを伴いつつも「学習」してきたこともあって、「言之易」とは到底言えない部分があります。

 

むしろ、条件反射で体が先に動くこともあるくらいです。

 

 

それよりも今日もっとも大きなインパクトを持ってせまってきた感情は、昔の人と比べて現代に生きる自分は知性が退化していまいか?という危惧の念でした。

 

これは日本も中国も同じなのですが、漢字を簡略化して記号化することで漢字の持つ「気」のチカラが半減しているように感じます。

 

例えば、『塩鉄論』は本来の漢字表記では、『鹽鐡論』です。

塩の塩たるゆえん、鐡の性質というのもが漢字を見たときに伝わってくる漢字だったことが確認できるかと思います。

 

 

また日本では漢字を減らしてどんどんひらがな表記に変わってきています。

 

「リテラシー」という名のもとに、難解さという「登山」をする醍醐味も失われているように思えてなりません。