‐雅人視点‐


キレた口内が痛む。服に纏わり付いた埃を払い終わる頃には時計は2時半を指していた。

「……それにしても服が破けなくて良かった。時計も。」


そんな台詞が出た自分に思わず笑みが零れた。自分の身の心配より、道具の心配をするなんて。自嘲が込められた笑みだった。


…どうしてこうなってしまったんだろう?

目頭が熱くなる

…どうして僕はこんなに苦しまなくてはならないんだろう?

一滴の雫が滴る

…僕はどうしてここにいるんだろう?

ポタポタと雫の落ちる音がする


……どうして、何故、僕は生きているのだろう?

僕は生まれて始めて声を荒げて泣いた。雫の落ちる音が僕の問いに対する答えのような気がした。