私は60歳の現代舞踊家・振付家ですが、今、生まれて初めての本を書くという挑戦に取り組んでいます。


舞台に身を置いてきた私にとって、文章を作り上げるのはまったく新しい舞台。


その裏側でいったい何が起こっているのか、今回はその「執筆の舞台裏」をお見せします。


まず初めてぶつかった壁は、いつも使っているWordとの格闘でした。


日常は文書を細かく設定せずに使っていたため、自分の感じるままタイピングして書き始めたら文字サイズや行間がばらばらで、ページごとに独自のダンスを始めたかのよう。

12ポイントの文章に、知らない間に10.5ポイントで量産されていたり、行間がジグザグになってたり…そんなWordの奇妙な動きに頭を抱えつつも、「どうにかしなくちゃ」と奮闘したものです。


特に手強かったのが「小見出し」と「目次」の処理でした。


校正者さんに「見出しスタイルを正しく使わないと目次がうまく作れませんよ」と指摘を受け、その度に「え、目次って自分でチマチマ書くものだと思ってました…」と自分の理解不足を痛感。



色々な方法を学んでいく過程で、「専門外のことを学ぶのも悪くない」と思えてきたのです。


こんな成長の背景には、必要不可欠だった校正者さんの存在がありました。


出来上がった粗稿の原稿が真っ赤になっているのを見て、「これもあれも正してくれるのか」と妙な感動を覚えました。

文字の使い方や表現の節々に書き込まれた赤ペンの数々は、まるで舞台で振りをつけ直されているような細かい指導の連続。


一体私は文章の中でどれだけ読点「、」を乱発していたのだろう…気がつけば同じ意味の言葉をカタカナで書いたり漢字で書いたり。


これがいわゆる「表記ゆれ」や「句読点の多すぎ」ですね。


その発見には自分でも思わず笑ってしまうほど、おかげで言葉を書くことの難しさや面白さに気付くことができました。


また、文章を書くだけではなく、表紙や中扉などと呼ばれるタイトルページまでも自分で作ってみようとチャレンジしています。


いざ自分の書籍の表紙を自作しようとすると、どの写真を使うかに始まり、タイトル文字のフォントまで迷いに迷いました。でも、参考書を読みつつ勉強しながら、自分らしいデザインの表紙がようやく出来つつあります。


こんな新しい創作体験を通じて、自分が一回り成長できたような、背筋が伸びる思いがします。


そんなこんなで、今は執筆もいよいよ最終フェーズへ。気がつけば全体で15000字も書いていたと思うと、そのたびに少し自信が湧いてきます。


まずは自分を褒めながら、Wordの文字を特大サイズにして「原稿完成!」と打ち込みたい気分です。


しかし、本当の裏舞台はこれから。まだまだ専門家の手を借りるフェーズが待っています。

でも、私自身はもうすっかり「やり遂げた」感じでいます。


新しい挑戦に年齢や専門は関係ありません。どんな小さな一歩も、集まればひとつの組曲になり、歩み続ければいつか舞台で披露できる作品になります。

私も今回の挑戦を通してたくさんの新しい気付きを得ましたし、自分の表現の舞台に新しいページを加えることもできました。

そして、私は今日もWordと舞い続けながら頑張っています。