語学学校の英語の授業には

様々な年齢層の人たちが授業を受けていた。

私のクラスの最高齢は、正確にはいくつか知らないけど70歳は超えていそうなおじいさん。

最年少は当時19歳だった私。

他には20代後半から30代半ばくらいの人たちがいた。




10月も半ばになると、2人の日本人が寮に入って来た。

リカコさんとヨウジさん。

2人とも英語がとても上手で、寮に入ってすぐにたくさんのアメリカ人生徒と仲良くなっていて、うらやましかった。




この頃になると、私とディーンは夕飯を一緒に食べるようになっていた。

交互に夕飯を作って、食事の後は話をしたり、DVDを見たり、TVゲームをしたり。

楽しかった。

週末には電車で遠出したりもして。

少しずつ友達以上の関係になっている気がしていた私。




でも、前の彼氏の事からまだ何ヶ月も経っていなかった私は

友達以上になりつつある関係に少しおびえていた。

「私はそんなつもりでディーンと一緒にいるわけじゃない。私たちは良い友達」と言い聞かせていた。

彼氏と別れて独り身なんだから、誰と付き合っても別に問題ないんだけど、なぜか「彼氏はまだ作っちゃいけない」と思い込んでいた。

そこで、ディーンにも「ないわぁ(;°皿°)」と思ってもらおうとして、元彼の話を聞かせたりもした。

自分でもなんでこんなこと話したのか分からない。でもこれで友達でいられると思った。どこまでもアホヽ(;´Д`)ノ




ある日の英語の授業、私が教室のドアを開けようとしたらヨウジさんの声が聞こえた

「男は別れた女の事はいつまでも覚えているもんだ。」

なぜかドキッとしてドアを開けた。

「おはようございます。何の話ですか?」

クラスメイトのユウカさんの友達が、彼氏に振られて体調を崩す程落ち込み、入院しているという。

そこで振ったとか振られたとか、付き合ったとか別れたとか、恋愛の話をしている所だという。




ヨウジさんは続ける。「特にしっかりとさようならをしていない場合、男はいつまでも待っていたりするからな。

会わなくなって何年経とうが、可能性があると思って待ち続ける。」

んー。



ってか私元彼にちゃんとさようならしたっけ
(°д°;)?



どうしよう今でも待ってたら。

どうしようまた別れてないとか言われたら。

どうしよう、どうしよう、どうしよう・・・



その日のバイトは、なんだか集中できなくて

店長に「オレ、何かした?」と気を使わせた(ノ_-;)ハア…



でも結局元彼から連絡がくるわけでもないし、大丈夫じゃん?と結論づけて

考えない事にした(っていうかほんとに長い間考えていられない(ノДT))




ヨウジさんには「こういうことはしっかりしておかないと、後悔するぞ~( ´,_ゝ`)プッ」って言われた。

今の所異国にいるから問題ないけど











実はいまでも時々思い出したように「待っていたらどうしよう」と考えることはある。





居酒屋に行った日の夜には

「なんでディーンと2人きりだったのにご飯食べに行こうと思ったんだろう?」

とか

「案外盛り上がったのはびっくりしたな」

とか考えていたのに

次の日にはそんなこと忘れたってほどいつも通りに過ごしてた。

長時間考えてられない。やっぱアホヽ(;´Д`)ノ






私が行っていた頃の語学学校の秋学期は9月中旬から12月中旬まであった。

10月の始めになると、寮の中でも少しずつ友達が増えて来て

私はもっと英語で会話をする機会が増えた。




あるとき、私がロビー前を歩いていると、玄関の外にディーンがいた。

私を見つけて手を振っている。

私も外に出てディーンに話しかけに行く。

夜だったせいで外が見えづらかったけど、ディーンはたくさんの友達と一緒だった。

友達に英語で私を紹介してくれるデイーン。

私の方に振り返り

「皆日本語できるから、日本語で自己紹介できます」




どうしようかな・・・いや、頑張ってみよう!

英語で自己紹介した私。

一通り自己紹介し終わって、「Nice to meet you」と言うと





シーン・・・






え?私の英語間違ってた?(°Д°;≡°Д°;)

なんで誰もリアクションしないの??





ディーン「まあこさん、英語できたの?∑(゚Д゚)」

私「え?まぁ、英語習ってるし、カリサとは英語でしゃべってたじゃん?」

ディーン「だまされた(笑)」





いやいや、ディーンは最初からずっと日本語でしゃべってきてたから日本語で返してただけだよ(;^ω^A

カリサは日本語初級レベルクラスにいて、ほとんどしゃべれないから、私も苦戦しながら英語しゃべってたんだよ。





しかも、ディーンだけじゃなく、カリサ以外の生徒も私が英語しゃべれないと思っていたらしい。

だから友達できなかったのかぁ(´・ω・`)

私自分から話しかけるタイプじゃないしね。。。

まあこは実際少しは英語できるらしいという真実が広まってからは

私に話しかけてくれる人が増えた(笑)


全然行った事のない場所で

知らない人ばっかりに囲まれて

どうしていいかわからないとき

少しだけでも面識のある人に会うと親近感が急上昇する(と思う)。



私はオースティンとディーンのところへ急いだ。

オースティンは既に酔っぱらっていて、皆と騒ぎたくてしょうがないらしく、私を自分の座っていた椅子に座らせるとどこかへ行ってしまった。

メニューもない居酒屋。お水も出てこない。店主と思われるおじいちゃんは新聞から目を離していない。





私、ディーンと2人何しゃべれば良いの??っていうか席が近い!(((( ;°Д°))))





ディーン「狭いですね」

私「え?あぁ、お店?」

ディーン「そう。」


ディーン「まあこさん、あのスーパーでバイトしてるの知らなかった」

私「そっか。そのスーパー良く使うならまた会えるかも。私結構長い時間働いてるし」

ディーン「・・・もう1回?」

私「(今の分からなかったのかな?)長い時間働いてるから、また会えるといいね」

ディーン「そうですね」


私「・・・」

ディーン「・・・」





会話が続かない・°・(ノД`)・°・





1時間程してカリサが「用事があるからもう帰る」と言い出した。

私が送って行こうとすると、カリサがディーンに

「まあこは行きは2人だけど、帰りに1人になっちゃうからディーン一緒に来なさいよ」






私とディーン「はぁ!?」




何言ってるの?しかもカリサ、ディーンのこと知らないって言ってたよね?

しかも厳格なムズリム(イスラム教)だから男性との2人きりでの接触はだめって言ってたよね?

それを私にもそうするように押し付けて来た事もあったよね?






私帰りディーンと車で2人きりになっちゃうよ?






私が「いや、カリサが帰るなら私も帰るよ」と言うと、

私たちが車で来たという会話を聞いていた

全く知らない人たちが

「この子酔っぱらって寝ちゃったから、私付き添うから学校まで送ってって(*^▽^*)」

そして断りきれなかった私(ノДT)

結局酔っぱらいの付き添いだった子が居酒屋に戻りたいと言い出して

私も強制的に居酒屋に行く事に。。。(なぜか断りきれない(><;))






居酒屋の前に着くとディーンが外に立っていた

ディーン「今日は運転手ですね」

私「そうだね(;´▽`A``」

ディーン「まだ居酒屋いりますか?(もう少し居酒屋にいるつもりですか)」

私「ううん、もう寮に帰る。ディーンは?帰るんなら送るよ?」

ディーン「あぁ、いいね!ありがとう」

私たちは

なぜか

途中にある中華料理やへ行き

ご飯を食べてから帰った。





居酒屋ではあんなにしゃべることなくて気まずかったのに

中華料理屋ではすごく盛り上がって

私たちはずーっと笑ってた。

寮の門限ギリギリに帰って

また機会があればご飯を食べに行こうと約束して

それぞれの部屋へ帰った。





寝るのが遅かった私は

次の日の英語の授業に少し遅刻した(^▽^;)





居酒屋に行った日を境に

私とディーンはよくしゃべるようになった。








 
部屋に戻ってからルームメイトのカリサに、食事の誘いのことを相談してみた。

私「カリサは食事に誘われた?」

カリサ「誘われたよ」

私「行く?」

カリサ「私自転車乗れないから行かない」


この寮に住むアメリカ人学生は移動手段が寮から貸し出される自転車、もしくは電車かバスしかなかった。

「そっか。」

行けないからと思っていた私だったのに、いつの間にか考えが変わっていた。

「私車運転できるし、送るよって言ったらカリサ来るかな?カリサと一緒なら行ってもいいかも。」

とりあえずその日は寝た。



次の日、英語の授業。

私は苦戦していた。

アメリカで放送されているCNNニュースの聞き取り。

全く聞き取れない。

クラスメイトはノートを取っている。

結局答え合わせのときに

「わかりません」としか言えなかった。



午後はスーパーのバイト。

この頃にはまた「今夜の食事会どうしよう?」と考え始めていた。

その事ばかり考えながら牛乳の品出しをしていると、見覚えのある男の人が目の前を通り過ぎていった。

ディーンだ。

彼を追いかけた。自分でもなぜかわからないけど

気がついたら彼に話しかけていた。

「今夜、私のルームメイトのカリサを食事会に誘ってみる。彼女が行くなら私も行く」

ディーンは嬉しそうににっこり笑うと 

「じゃあ、会えるのを楽しみにしています」




バイトが終わり、寮に戻ると私はカリサを食事に誘った。

カリサは「まあこが行くなら」と行ってくれたので

私たちはオースティンが教えてくれたレストランに向かった。



レストランだと思っていた私は

着いてみて驚いた。

「営業してるのか?」と疑問を抱くような

かろうじて電気が着いているだけのような

小さい小さい居酒屋だった。




その小さな居酒屋に何十人ものアメリカ人学生達が

押し合いへし合いしながらお酒を飲んでいた。

人がいすぎて椅子に座れないどころか、入り口より前に進めなかった。

調理場にはおじいさんがたった一人、椅子に腰掛け、タバコをふかし、新聞を読んでいた。

そのおじいさんの横に大型犬が二匹寝転んでいる。




食事会だと思ったのに・・・友達も作れそうにない程混んでるな。

カリサはズンズンと店の奥に進み、椅子に腰掛けてジュースを飲み始めた。

取り残される私。

すると

「まあこさん!こっち!!」

オースティンとディーンが空いた椅子を指差しながら私を手招きしていた。









2005年9月中旬、新学期が始まった。

始業式なんてあるわけもなく、クラスの皆に簡単な自己紹介をして

英語の授業が始まった。

クラスメイトは全国から集まった日本人。

英語のレベルも皆それぞれ違う。

秋学期のクラスメイトはすごく英語ができる人たちが集まっていて

すこし肩身が狭かった。



授業は午前中で終わった。

午後はお母さんに手伝ってもらって、寮に荷物を運び入れた。

引っ越しが終わってから、お母さんと寮の隣にあるレストランでお茶をした。



夜、寮にいるアメリカ人は誰も知らないし、日本人の寮入居者はまだいなかったので

一人で暇をもてあましていた。

私の部屋はケータイの電波が通りにくかったので

ロビーに出て、ケータイで親友のMとすこし話をした。

ロビーには寮生が数人いたけど、勉強している人はいなかったので

そのままロビーで話し続けた。



「ちょっといいですか?」

私に話しかけて来た一人の男性。

Mに「あとでかけ直す」といって男性の方を振り返る。

彼は流暢な日本語でこう言った、


「僕はオースティンといいます。明日の夜9時から、寮に住むアメリカ人皆で近くのお店にご飯を食べに行く予定があります。よかったら来ませんか?」

「明日はバイトがあるから、ちょっと無理です。せっかく誘ってもらったけど、ごめんなさい」

彼は悲しそうな顔をして、「来られないですか?」

「バイトは夜遅くに終わるから、間に合わないと思いますよ」



意外な事に彼はなかなかあきらめず、言葉を変えながら私を食事に誘う。

「バイトが終わってから来てください」と。

私が困っていると、寮に帰って来たばかりと思われる男性がこっちに来た。

なにやら英語でオースティンと話をしている。



オースティン「彼は私のルームメイトのディーンさんです。彼も食事に来る。女の友達も来る。だからまあこさんも来てください」

ディーン「僕も明日は夜遅くまで、日本の大学に行くから、一緒に行きましょう」



私は正直「行けないって言ってるのに」と思っていたけど

「バイトが終わってから考えます。誘ってくれてありがとう」とだけ言って部屋に戻った。