半分の振り返りをする時がきました。
まずは前半戦、東大生たるもの(?)、どんな授業を履修したのかということを真面目に振り返っておきます。
一応前期にとっていた授業は1つ、Peace and Conflict Aというもので、平和学の名門ウプサラ大学に入学した生徒が、まず初めにとる授業として位置付けられています(確かフルで平和学部を修めるとなると3年間かかるらしい)。
人気学部ということもあり、履修者は100人超え、他の留学生がとる授業に比べて圧倒的にスウェーデン人の生徒が多いことが特徴的でした。中には学部に入っているわけではなく、わざわざストックホルムから通学してこのコースだけを勉強している、という人もいましたし、他の学位を取ってから、改めてこの学部に入り直したという人もいるような授業でした。
授業の内容に関しては、4ヶ月が1ヶ月ごと4つに分かれていました。(ちなみにそのうちの1つはまだ終わっていなくて、1/17まで続いています)
9月から順を追って振り返っていきます。
9月:Introduction to Peace and Conflict Studies
内容としては、授業タイトルの通り、平和学とは何か、またこれまでこの分野でどのような研究がなされてきて、紛争や平和構築の最近のトレンドはどのようなものか、という概要が学べる、ざ・入門という感じの授業でした。
期末に試験があるし、要するにこれから必要になってくる知識を頭に入れているだけなので、創造性とかそういうのは全く必要ないし、スウェーデンらしさはあまりない授業だよということが囁かれていました。とはいえ日本とは違い、授業は1日に多くても一コマしかないし、自分で勉強する、ということを求められるスウェーデンの学習スタイルをつくづくと感じました。
驚く量のリーディングに苦しみ、途中からスキミングや効率の良い授業スライドの使い方を学んだ1ヶ月でした。
この時点では、話していることが抽象的だったのと、平和に答えが出ないと思ったのと、紛争についての当事者意識がないと強く感じたのとで、平和学あれえ、って思ってしまいました。
10月:Conflict Analysis
9月の授業とはうって変わり、現在も進行中の紛争について、かの有名なウプサラ大学紛争研究センター(UCDP)のデータベースやその他の資料を使いながら分析し自分でペーパーを書く、という授業でした。ここで9月に学んだいろんな概念を用いるように言われるわけです。概念を学んで終わりにしない、使うことによって実践までできるようにさせる、というのは、当たり前のようで日本もぜひ学んで欲しい教育法ですね。
私が選んだのは東部ウクライナのドネツク紛争。
ロシアにもずっと興味があるし、せっかくヨーロッパにいるのだから、ヨーロッパとロシアの境ともいえるこの地域について、掘り下げて考えてみたいと思ったのです。
日本ではドネツク紛争などほとんど耳にしたこともありませんでしたが、ロシアの存在が大きな脅威として描かれているヨーロッパでは安全保障上で大きな問題であるし、実際とても興味深かったです。
当たり前のようですが、場所が変われば国際情勢の見方も焦点も変わるのだなあと思いました。
ぼやっとしていた概念を、実際に今も起こっている紛争について理解する際に用いることがわかり、だんだん面白くなってきました。ただし、紛争がこの後どうなるだろうとか、どうやったら解決できるだろうとか、そういったマクロ的な視点には実はあまり興味がないのだということに気づいたのもこの時でした。
11月:Peace and Security in the International System
この授業は、国際システムを「安全保障」という切り口から考える、というものでした。日本にいるときにやったな~と思えるような、国際政治における基本概念の導入から始まり、これがずっと続くのか、、と思っていたら、そういった伝統的アプローチだけではなく、テロリズムやサイバーセキュリティといった新しい安全保障に対する脅威についても考えてみよう、そしてさらに、アイデンティティ、ジェンダー、環境など多岐にわたる分野も安全保障と掛け合わせて考えてみよう、というふうに授業が進行していきました。
もはや安全保障という言葉がカバーするものが広すぎて、なぜ安全保障について学んでいるのかも途中でわからなくなってしまいました。ただし、この安全保障という概念こそが、平和とは何かやどのようにそれを達成していくかということを考えるときに有用なのだなということは感じさせられました。「Security studies」という概念それ自体、日本ではあまりなじみのないものですよね、そういえば。
こういってしまうのもあれですが、日本で授業が基本的な概念や伝統的アプローチ以上にまで射程を広げるようになると、なんだか陳腐だな、新しいトピックを頑張って取り入れようとしているのだな、と思ってしまうことが多々ありました。
それはやっぱりどこか基本が一番大事で、基礎の上に新しさをちょっと積み重ねて考えてみよう、というのが日本のやり方だからなのかなと思ったりします。
ただし私がこちらで学んだことは、基礎とされているやり方は本当にそれでいいのか?一度それは傍においておいて、ゼロから考えてみないか?という発想だったように感じます。
だから環境×安全保障、なんていうアイデアも生まれるし、内容としても学びが多いものでした。
もちろん、日本で学んだ国際政治の伝統的アプローチに対するおさらいができて、理解が深まったのもとても良かったです。
この授業では最後に一つの国を選び、その国が直面している安全保障上の課題について分析ペーパーを書くという課題も課されました。
私は韓国を選び、「北朝鮮」という伝統的アプローチで捉えられる軍事的脅威と、新しいアプローチを用いて日韓関係と近年におけるその変化に伴う社会的脅威という二つについて分析をしました。
日韓関係大荒れの中、韓国側の視点で安全保障について考えるというのはとても面白かったです。
12月:Security Scenario Analysis
この授業は、これまでは過去に起きた紛争や現在進行形で起こっている紛争について分析するというものだったのに対して、今後どのようなことが起こるかについて予測しペーパーを書く、という授業です。
私は香港と中国の関係について選択しました。中国についての話題はあまり上がりませんが、香港では「民主主義」の名の下に戦いが行われているということもあって、結構注目している人は多いという印象を受けています。
まだ途中なので内容について詳しいことは書きませんが、ペアワークで進んでいくので、ペアの子との共同作業の中で自分についても気づきがありました。
日本で勉強というと、受験を始め圧倒的に個人作業が多いですよね。だから私も自分で計画を立てて情報収集をして、自分の言葉で自分がしっかりわかるように勉強を進めていくことはとても得意だと感じています。これまでペアでアイデアを出し合ってまとめて進めていくなんてことほとんどしたことがなかった。
だから話し合いの中で即座に自分のアイデアをまとめることとか、相手が見当違いのことを言ったときにいい感じに否定することとか、そもそも自分と相手が違う価値観を持っているという前提の中で、合意形成する方法とか、全くわからず苦戦しています。一人で考えた方が圧倒的に早いから一回思考時間をください、準備してから行きたいから話し合うことを先に決めよう、とか言いたくなってしまいます。
社会に出たら人と協働する必要があるのだから、ここで協力する方法を身につけなければ、、と数ヶ月前の私なら言っていた気がしますが、日本人らしい、個人作業が得意、っていうのも有能な戦力になる気がするのです。だって実際準備して話し合いに挑んだ時はポンポン話が進んで、ものすごい進捗をうめたから。
ただし、きっとグループワークと個人作業、両方できる人になれたらベストなんでしょうね。がんばろ。
授業について書くだけでこんなに尺を取ってしまいました。そんなつもりじゃ。
授業以外にも、比較的いろんなことができたかなと思っています。
●ソーシャル/志な部分
・スウェーデン防衛のレクチャーを受ける
・ゴミ処理場を見に行く
・スウェーデンの高等教育についてのセミナーに行く
・インドの工場の工業事故に関する映画をみる
・持続可能なビジネスプランに関するワークショップに行く
・移民の人の話を聞くワークショップに参加
・アウシュビッツに行く
●グローバルの部分
・ディベートクラブに参加
・メキシコの死者の日について知る
・ディベートクラブで日本文化についてプレゼン
・スペイン人及びコロンビア人と旅行
・UFの旅行に参加
●友達関係の部分
・パブクラウルに参加
・フードフェスティバル
・レインディアパーティ
・movie night
・UT会でお好み焼き
・フログスタパーティたくさん
・中国人と火鍋を食べる
・日本人と飲み会たくさん
・誕生日パーティ参加
・ハロウィンパーティー開催
・メキシコタコスを食べる
・寿司パーティ開催
・友達の誕生日パーティを手伝う
・すき焼きをつくる会
・日本の友達や後輩と電話
・日本留学をしていたスウェーデン人たちと交流
・日本文化のイベントお手伝い
・イタリア人の友達をを迎える
・トルコ人の友達に会いにいく
・日本人会に参加
・韓国人と日本人合同飲み会を開催
●旅行
・ケルン
・パリ
・タリン
・クラクフ
・キプロス(ラルナカ・ニコシア)
・イスタンブル
・ウクライナ(キエフ)
ここまで振り返って思ったのは、基本的に前半のテーマは志とグローバル耐性をつける、だったので、やっぱり勉強と友達関係に関する比重が多めだったということです。
後半はもっとソーシャルな部分、スウェーデン社会から日本を、ヨーロッパからアジアを、見つめ直す部分に力を割けたらいいなと思ってます。
ちょっと長くなりそうなので半分に分けます。(まだ半分)
ここまではやったことベースでの振り返りでした。
