9/14のケーブルテレビ「ムービープラス」でPacific War(太平洋戦争)というニコラス ケージ主演の2016年の映画で歴史書にはない面白い話があったのでご紹介します。

米巡洋艦インディアナポリスは広島と長崎の原爆を運んだのですが、その後、1945年に太平洋において日本のイ号潜水艦によって撃沈されました。(日本にはイ、ロ、ハという3種の大きさの潜水艦があり、イは最大)この時多数の犠牲者が出ますが、艦長は総員退艦を命じた後、最後の方で艦を脱出し、部下と共に救命ボートで当てもなく太平洋を漂います。その間もサメに襲われたり、飢えたり、気が狂って海に飛び込んだりして犠牲者は増え続けますが、艦長は生き延び友軍に救助され、アメリカに帰国できましたが、そのとき「これからが地獄だ」といいました。案の定、夜自宅には、おまえも死ねばよかったのにという趣旨の電話があり、罵倒されます。その後まもなく日本は降伏しますが、艦長は軍法会議にかけられ、多数の犠牲者を出した責任を問われます。おもしろいのは、この裁判にはなんとイ号潜水艦の橋本という艦長が証人として呼ばれたことです。事実を明らかにして公正を期するためですが日本なら考えられないことでしょう。

裁判の争点は魚雷が当たらないようにジグザグに航行して危険を回避できなかったのかという点です。インディアナポリス艦長はジグザグ航行はしなかったと答えます。一方、イ号の艦長は発射した6本の魚雷はすべて至近距離であったためジグザグによる回避は不可能だったと証言します。またイ号は「回天」という人間が操縦して体当たりする特攻兵器としてのいわゆる「人間魚雷」も搭載していたがそれは使わず、通常魚雷で攻撃したと証言します。つまりわざわざ回天を使わなくても通常魚雷で十分撃沈できると判断し特攻による味方の犠牲を避けたところもえらいのです。

しかし裁判後、両艦長は互いに敬礼をして別れますが、その後ニコラスの演じる米艦長はピストルで頭を打ち抜き自殺して映画は終わっています。昔から船が沈むときは周囲の制止を振り切ってでも船長は体を船に縛り付けて運命を共にするという話がありますが、映画で初めてそれが実際に要求されるような場面を見ました。日本ではどうでしょうか?    18.9.18投稿