本日14.9.19にスコットランドは独立を問う国民投票(16歳以上)をしましたが、日本では国民投票にかける憲法改正がめんどうだからと、集団的自衛権行使を認めるには解釈の変更だけの方が簡単という姑息な方法で済ませました。

 そもそも自衛権とは何かを国連憲章を基に考えると、どこの国にも当然備わる固有の権利として規定されています。

集団的自衛権は、1945年に署名・発効した国連憲章の第51条において初めて明文化された権利であり、

国際連合憲章51条:この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。
 
つまり、人間に例えると基本的人権みたいなもので、基本的人権は法律や憲法で規定されなくても世界中のだれにもある権利です。そうすると集団的自衛権、個別的自衛権もその国の憲法解釈で無くなるような権利ではないと思います。憲法でわざわざ自衛権まで放棄と書かない限りは当然の権利として認められるはずではないでしょうか。だからこそ自衛の権利までは放棄してないと憲法を解釈して自衛隊を保持したのです。さらに日米安保条約にはすでに個別自衛権と集団的自衛権を認めると書かれています。「集団的自衛権は権利を有するが行使できない」と解釈されているといいますが、行使できない権利なら権利がないのと同じでしょう?行使できるからこそ権利があると言えます。言葉の遊びで国の根幹をなす憲法を侮辱するなといいたい。下記に引用するように憲法前文には自国のことにのみ専念せず、国際平和のために国際社会で名誉ある地位を築くと崇高な理想が掲げられていて、先輩諸氏の苦労がにじみ出ています。国連に加盟しているのに集団的自衛権を行使できないなら憲法前文にある「国際社会での名誉ある地位」も築けず安保条約は絵に描いた餅です。なにをいまさら、という感じがします。憲法と安保条約も下記に引用します。下線部にご注目下さい。
日本国憲法
前文(抜粋)われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
  われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国との対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。
第二章 戰爭の放棄 第九條
  1. 日本國民は、正義と秩序を基調とする國際平和を誠實に希求し、國權の發動たる戰爭と、武力による威嚇又は武力の行使は、國際紛爭を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
  2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戰力は、これを保持しない。國の交戰權は、これを認めない。
 
 1.     私が憲法解釈変更に反対する理由:条文を変えずに解釈変更でごまかすと後の政府が解釈を変更して集団的自衛権はおろか個別的自衛権までも認めないといえることになるからです。解釈でどうにでもなる不明確な憲法は改正すればよい。改正案は別途投稿します。
それでは現憲法で日米安保条約での具体的軍事行動にどう対処するか? 2.項に具体的軍事行動案を提起しますが、その前にキチンと安保条約を理解しましょう。下記に引用しましたが、要するに日本の領土領海内で日本またはアメリカ(米軍、アメリカ民間人と解釈)が攻撃されたら条約対象ですが、アメリカ領内でアメリカが攻撃されても対象にはならず、日本はアメリカにおんぶに抱っこされ守られた赤ん坊みたいな一方的条約です。これでは対アメリカはもちろん国際社会で一人前の口はきけません。やはりそれには憲法9条を普通の国並みに改正するべきです。それでもアメリカは尖閣を含む中国の防空識別圏に対して直ちに尖閣は日米安保対象であると中国に警告してくれたのです。
Amebaブログの「日本は憲法改正すれば普通の国になれるとのTime誌記事」に書きましたように、海外では日本は憲法改正で1人前になると見ているようです。
国家安全保障基本法案に書いている石破氏の案は個別と集団に分離せずに①日本及び密接な関係にある他国に対する攻撃②被害国からの支援要請③日本の安全を守るために必要やむを得ない限度という条件付きで自衛権を認める案であり、確かに現行憲法のままなら解釈を補強するため必要だが、逆にこういう別途規定がないとあいまいになるならいっそ憲法を変えるべき。でないと政権が代わると基本法案を廃止される可能性もあるからです。
日米安全保障条約(下線部注目下さい)
 日本国及びアメリカ合衆国は、両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、 また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、 国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、 両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、 両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、 相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、よって、次のとおり協定する。

第一条:
 締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。
 締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に逐行されるように国際連合を強化することに努力する。
第四条:
 締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。
第五条:
 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
 前記の武力攻撃及びその結果として執ったすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従って直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執ったときは、終止しなければならない。
 
2.     安保条約に基づく日本の具体的軍事行動
    日本が直接外国の攻撃にさらされるとき:日米安保条約に規定のアメリカとの集団的自衛権行使により米軍との同時一体行動だけでなく、米軍が日本支援のため単独行動中に攻撃された場合でも米軍を支援するために相手を直接日本が単独で攻撃ないしその相手国にまで攻撃範囲を拡大しても問題ない。攻撃が最大の防御であることは戦術の常識。
    アメリカやその他日本の近隣諸国が攻撃を受けたために日本自体の安全が脅威にさらされる場合:この時も日本とアメリカその他近隣諸国との集団的自衛権を行使できる。近隣諸国と安保条約を締結してなくても国連憲章に規定があり、日本は国連加盟国だから国連憲章に基づく集団的自衛権行動が可能である。
    憲法解釈により日米安保条約を締結し、この解釈による米軍日本駐留は砂川判決でも違憲とされなかったが、解釈変更すれば違憲となる不安があるので、やはり明確に個別の自衛権と集団的自衛権は当然の権利との憲法条文を追加すべき
    国連平和維持活動(PKOPeace Keeping Operation)にはすでに参加実績があるが、これこそ集団的自衛権の枠を超えた活動。憲法解釈では上記に引用の憲法前文の下線部にある「国際社会での名誉ある地位を築く」「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」という理念を国連加盟国の義務として実行するとも考えられるが憲法を改正すればより明確になる。
 
これに対して政府が検討している4類型は①米国を狙った弾道ミサイルを日本のミサイル防衛システムで迎撃②公海上での米軍艦船への攻撃に自衛隊が応戦③国際復興支援で共に活動する多国籍軍への攻撃に自衛隊が応戦④武器輸送などの後方支援
であるが、4類型①、②は日本に対する攻撃に対し安保に基いて反撃する米国に対しての話ならよいが、最初からアメリカのみ対象の戦争であれば安保対象外となる。日本にも脅威がおよぶという集団的自衛権の要件があればアメリカ支援は可能である。③はPKOであり集団的自衛権ではない。④も集団的自衛権行使による行動ならOKだが、それ以外は憲法改正必要。        14.9.19投稿