(もう少しだ…がんばれ自分…)
ピアノの修理も佳境に入り、額にはあぶら汗が滲んでいた。
もう、ずいぶん前から右脇腹と背中が痛い(T . T)
飲み続けていたカロナール(痛み止め)も効かなくなってきた。
きっと胆石とか、胆嚢炎とかだ。
いや、もっと酷いかも(T . T)
引き攣った笑顔で仕事を終えたあと、
死にそうな様相で、病院に辿りついた。
物々しい雰囲気の中、腹部超音波検査が実施された。
技師の女の人(おばさん)が僕の下腹部にゼリーを塗り塗りして器具でなぞる。
(すみません、手を握っててもらえませんか?)
などと言えるはずもなく、一人不安の中で震えてた。
彼女は少し険しい表情で、モニターを見ている。
「あの…、何か…胆石とか、腫瘍とかありますか?」
恐る恐る聞いた。
「むむむ…これは…
むむむ…
むむむ
虫垂炎ですね。」
(……虫垂炎…)
抗生剤が処方された。
一応、心配してくれていた仕事の仲間に伝えた。
翌日届いたメールに、返す言葉が見つからなかった。
「ぎょう虫が、いたんですって?、大丈夫ですか?」