(史実を基にしたフィクションです。史実とは異なります。御了承ください。)

朝日が昇り、氏康は河越城に入った。
河越城の兵士や家臣たちが氏康を出迎えた。

福島弁千代「氏康様!」

氏康「おおっ!弁千代!大儀じゃった!そなたの働き、感謝致す!そなたのお陰で勝てたぞ!」

弁千代「氏康様!勿体無いお言葉、恐悦至極に存じまする!」

氏康「弁千代!無事で良かった…」

綱成「兄者!」

氏康「おおっ!綱成!大儀じゃった!すまぬ、綱成!辛い思いさせたな…許してくれ!綱成…」

綱成「勿体無いお言葉、大したことない、兄者!有り難き幸せにて!」

氏康と綱成は抱き合った。

二人の目は潤んでいた。

氏康は義理の弟を実の弟として、綱成は義兄を実の兄として、固い絆が更に深まる。

大道寺政繁「親方様!難波田憲重が河越城の井戸に身投げし、死にました!」

氏康「何?」

多目元忠「親方様に…難波田憲重が言い残しました。「俺は北条氏康と戦い、苦しめたが敗れた…。地獄で鬼たちに自慢する!北条氏康という猛将と戦ったことを!あの武将は天下に名を馳せるだろう!地獄で待っている…」と。」

氏康「そうか…難波田憲重は上杉朝定には勿体無い文武両道の武士だった…出来れば召し抱えたかった…」
氏康は悲しんだ。

北条氏康は小田原に凱旋した。
わずか八千の手勢で八万五千の上杉憲政、上杉朝定、足利晴氏を含めた武蔵國の諸武将連合軍を撃ち破った、関東や周辺諸国に伝わった。

小田原城下の庶民も氏康の凱旋を祝した。

北条氏康「今回の勝利は関東を守った!戦勝を祝おう!」

しかし、戦勝祝いは地味に行われた。

北条氏康「これで良い。戦勝気分に浸るのも程々に。」

氏康の叔父の北条幻庵(北条宗哲)は頷いた。

氏康「祖父様(北条早雲(伊勢新九郎宗瑞))と父上(北条氏綱)が夢見た相模國、武蔵國を平定し、民が笑顔絶えない國を作る、安寧の地を築く!その夢が近付いた!民が豊かで幸せな国家を築く!これこそ、北条の悲願である!」

北条氏は関東八州を手中に治め、民を幸せにした。
しかし、豊臣秀吉による小田原攻めで北条氏は滅亡する。
後に徳川家康が関東に入るが、北条氏の善政を経験した民に家康は手を焼いたという。

河越夜戦は後に日本三大奇襲戦のひとつとされる。

織田信長が今川義元を破った桶狭間の戦い、毛利元就の安芸の戦い…

河越夜戦は北条氏の歴史に残る最大の戦いのひとつとなった。

(完)