松本人志氏の発言は
間違っているのです。

茂木健一郎氏の発言は、
正しいのです。



●芸能人が政治的発言を自粛する風潮にAAAメンバーのSKY-HIが異議...
「人前に立つ人こそ意見を言うべき」

リテラ /
2017年6月2日 11時13分

 脳科学者の茂木健一郎による

「権力者に批判の目を向けることのできない日本のお笑い芸人はオワコン」論争。

 この一連の論争については、最近新たな展開があった。

オリエンタルラジオの
中田敦彦が『ワイドナショー』(フジテレビ)で

茂木を切り捨てた

ダウンタウン・松本人志をブログで

暗に批判したことに関して

吉本興業の社員が問題視。

事務所側から中田に対し、

松本に謝罪するよう指導が出て、

それを中田が突っぱねていた件が明るみとなったばかりだ。

これによって、

松本の強権的な姿勢と、

彼に対する

事務所の陰湿な

忖度体質が

改めて浮き彫りとなり

再度炎上しているが、

「権力者に批判の目を向けることができない」

という点では、

お笑いだけでなく音楽も同じである。

 昨年6月、
「FUJI ROCK FESTIVAL'16」にSEALDs(当時)の奥田愛基氏の出演が

アナウンスされたことをきっかけとして、

「音楽に政治を持ち込むな」という論争が起きたことは記憶に新しい。

これに関しては、フジロックはもちろん、

ロック、
ヒップホップ、
ブルース、
ジャズ、
テクノ、
ハウス、
レゲエ

など

ありとあらゆるポップミュージックの歴史と背景を

理解していないからこそ

出てくる

馬鹿な主張であることを

過去に本サイトは指摘しているが、

こういった騒動が起きたという事実が端的に示している通り、

ミュージシャンも

政治や社会に関して

何か発言すると

「芸能人風情が偉そうに語るな」

といった

理不尽な主張で炎上に巻き込まれるという流れがある。

こういった状況を見て、

何か「言うべきこと、言いたいこと」

をもっていたとしても、

「自主規制」してしまう人が

多数いるであろうことは想像に難くない。

 茂木が指摘した

お笑い芸人・コメディアンの事例しかり、

音楽の事例しかり、

他の国から見れば

日本の芸能界に漂う

閉塞した

言論状況は

異様であり、

もっと異論の声が出てしかるべきだろう。

 そんななか、ある年若いミュージシャンが書き記した提言が話題を呼んでいる。

その人物とは、AAAのメンバーとしての活動と並行して、

SKY-HI名義でラッパーとしてもソロ活動を行い、

先日はソロとして初めての武道館の単独公演を成功させたばかりの日高光啓だ。


●SKY-HI「ミュージシャンやタレントこそ意見を言うべき」

 先日本サイトでは、

「共謀罪」に反対の声をあげた芸能人や文化人を紹介した記事で、

彼の

〈トランプ政権以降の国家間、人種間の

軋轢や日本でも共謀罪の衆院通過とかなってくると

戦争の気配は感じずにいられない〉

という発言を取り上げているが、

5月29日、SKY-HIは自身のツイッターアカウントにこのような投稿を行った。

〈社会的な話をツイートしたり伴って

ハッキリと意思を持った発言をすると、

面白いくらい...時には軽く数万単位で

フォロワーが減るんだけど、

それは兼ねてから言われている

「芸能人(って言葉も最早嫌いなんだけど)は

政治、宗教、野球チームの話はしてはいけない」

って話と繋がるのでしょう。〉

〈でもそうやって出来上がった日本のエンターテイメントが

どんどん

嘘や無味無臭に

なっていくのは

面白くないし、

第一もう古いとしか思えないから、

自分は発言します。

「海外のアーティストの様に...!」

って訳ではないんだけど、

クリエイティブの壁の前に存在する、

意識の壁が気になってしまう〉

 彼のツイッターをフォローしていたということは、

その人も元々はSKY-HIのファンであったはずなのだが、

ただ単に社会的な発言をしただけで

フォローが外されてしまうというこの事実から、

前述したような

「芸能人風情が偉そうに語るな」

という世間の風潮や、

芸能人が社会に対して

問題提起することへの

アレルギー反応が垣間見える。

しかし、彼は、だからといって

「自主規制」のようなかたちをとることを良しとしない。

続けて、このようにツイートした。

〈人前に立つ立場の人間が、自分の意思や主張を言わない、

嘘でも良しとするってのは、

違和感しか感じないし、

少し話は逸れるけれど

間違いや過ちを

集団ネットリンチする姿勢も、

アンチグローバルに感じるし、

世界の成長から取り残される日本と単純にダブるのです。〉

〈本来、人前に立つ機会が多いミュージシャンやタレントこそ、

明確に

意思や主張を

発言するのも、

SNSがある以上

そこに反映されるのも

当然のことに思います。

皆で予定調和の

無味無臭な平均点を作る事と

「エンターテイメント」は真逆でしょう本来。〉

 そのような姿勢はSNSだけではなく、

作品づくりにおいても徹底して貫かれている。

5月31日にリリースされたシングル「Silly Game」にはこんな歌詞が含まれており、

同調圧力や排他主義について言及したり、

トランプ政権の強権的な政策について

揶揄している。

〈一声かけ綺麗に整列
/外れモノを皆で軽蔑
/側から見ればどうにも
Crazy
/メーデーメーデー
/提言、となんとも聞こえのいい命令
/秩序は暴力とplaymate〉

〈人が使う正義はトランプ
/裏表隠し押し付けるジョーカー
/大将、売ってくれその名誉〉

●SKY-HI「怒られる不安はあるが、それで意見を捻じ曲げる事はしないです」

「Silly Game」のリリースにあたっての公式資料に彼は、

「昨今、世の中に対する違和感を感じることが多くて。

自分たちのルールを押しつけてくる感じに辟易することが多かったんです。

芸能人の出家騒動とか
過労の自殺騒動などに対して

正論を振りかざす感じ、その優しさの無さ、
無言の圧力、

そういうものに気持ち悪さを感じていて」

とコメントを出しているが、

まさしくその思いを作品として具現化させていると言えるだろう。

 このなかに含まれる、

〈大将、売ってくれその名誉〉の

〈大将〉は「大賞」と掛けていることは明白で、

このラインで昨年の

レコード大賞1億円買収騒動を

皮肉っているとも読めるが、

SKY-HIもエイベックス所属のアーティストであることを考えると

軋轢を生み出しそうな歌詞である。

 とはいえ、だからといって、

彼は恐れて口をつぐんだりすることはなかった。

ツイッターではこのように綴っている。

〈新曲含めて、社会や政治に対して発言する時は、

違う主張や人種の人が聴くことも想定するから気を使うし、

単純に「お、怒られるかな~」みたいな不安もあるけど笑、

それで捻じ曲げる事はしないです。〉

 彼はウェブサイト
「T-SITE」のインタビューで今後の方向性についてこのように話していた。

「今は目先の問題がめちゃくちゃ目に付くんですよ。

だから次のアルバムはひょっとしたらポリティカルになるのかな」

 SKY-HIはそもそも、

「AAAの人でしょ(笑)」
であったり、

「所詮はアイドル」といった偏見を、

きちんとした音楽をつくり続けることでひとつずつ拭い去り、

ミュージシャンとして確固たる地位を自ら切り開いてきた人である。

 AAAが好きな若い女子から、ゴリゴリの日本語ラップヘッズまで、

幅広いファン層をもつ彼が

「自主規制」に

アンチテーゼを唱えたことの

意義は大きい。

ポリティカルな内容になる次のアルバムはどんな内容になるのか、

そして彼のファンはそれをどう受け止めるのか。

期待して待っていたい。

(新田 樹)