●官邸の前川証言潰し恫喝に屈したメディア、
踏ん張ったメディアが鮮明に!
日テレ、とくダネは無視、田崎はトンデモ解説

リテラ /
2017年5月25日 18時12分

 元文科省事務次官である前川喜平氏のインタビューを、

本日発売の「週刊文春」(文藝春秋)が掲載したことを受けて、

今朝の朝日新聞朝刊も
前川氏のインタビューを一面トップほか大々的に掲載。

毎日新聞も社会面で大きく取り上げ、

そのなかで「文書は本物」とする前川証言を紹介した。

また、昨晩の『NEWS23』(TBS)は、

前川氏のインタビューを今晩放送することを予告した。

 本サイトは

昨日、前川氏の自宅前にマスコミが殺到している一方で、

官邸が上層部から官邸記者にいたるまで

恫喝を

かけまくっていることを伝えたが、

その圧力を

これらのメディアは
撥ね返したといえよう。

 だが、今回の前川証言に対する

安倍首相はじめ官邸の

焦りと怒りは

凄まじいものだ。

安倍首相は

昨晩、赤坂の日本料理店「古母里」で

テレビ朝日の早河洋会長と篠塚浩報道局長と

会食。

報道局長まで呼びつけていることからも、

報道に対する

牽制があったことはあきらかだ。

 剥き出しの圧力をかけられたテレ朝だが、

しかし、今朝の『羽鳥慎一モーニングショー』では、

「週刊文春」に掲載された前川証言と、
「週刊新潮」の報道を取り上げた。

 番組ではまず、

前川氏の「出会い系バー通い」を紹介した上で、

「週刊新潮」による「官邸は前川前次官の

醜聞情報を集めさせ、

友好的なメディアを使って取材させた」

「"報復"するとともに口封じに動いた」という

内容に踏み込んだ。

司会の羽鳥が
「これはどうなんですか?」
と尋ねると、

ゲスト出演したテレ朝の細川隆三・政治部デスクは歯切れ悪くこのように述べた。

「官邸にはいろんな人がいて、この問題にふれると

とにかくカリカリしちゃって、興奮する方もいらっしゃるし、

逆にこの問題は触ってはいかんと、触らないように

シカトしようとする人もいますし、

とにかくこれは内閣の問題じゃなくて個人の問題、
とんでもない人がやっているんですよと

さらけ出すのがいいんじゃないかっていう人もいるんです」

「官邸による報復なのか?」

という羽鳥の問いに対する答えに

まったくなっていないが、

いかに官邸が

記者にプレッシャーを

かけているのかが

垣間見えるコメントではあるだろう。

 だが、ここでレギュラーコメンテーターの玉川徹が、

読売新聞の報道に言及。

「現役の官僚でもない前の事務次官の、

違法でもない話を一面にもってくるバリューが、

加計学園にかかわらないんだとしたらどこにあるのか」

「ものすごく疑問」
と言い、こう畳みかけた。

「安倍総理は自分が語る代わりに『読売新聞を熟読してくれ』っていう関係ですしね。

やっぱり権力に対して

批判的な目を向けるっていうのが

ジャーナリズムだと

私はずっと思っていままで仕事してきたんですけど、

こういう一連の

読売新聞のあり方って、

政治部的な感覚から見て、

細川さん、これどうなんですかね?」

 ごくごく真っ当な指摘だが、

これに細川政治部デスクは

「いや、だから、(読売の今回の報道は)めずらしいですよね」

と返すのが精一杯。

だが、テレ朝は『モーニングショー』だけではなく、

『ワイド!スクランブル』でも

番組トップと第2部で報道し、

前川氏の下半身スキャンダルについて

"官邸のイメージ操作では"と言及。

前川証言と下半身スキャンダルという

"両論併記"の報道ながら、

しかも総理直々に"圧力"が

くわえられたなかで、

官邸の読売を使った報復と、

読売の姿勢に論及した点は、

勇気あるものだったと言えるだろう。

 また、朝の『とくダネ!』と昼の『バイキング』では

前川証言を無視した

フジテレビも、
『直撃LIVE グッディ!』ではしっかり取り上げた。

 しかも、菅義偉官房長官が会見で
「(前川氏は)地位に恋々としがみついていた」
などと

人格攻撃したことに対し、

ゲストの「尾木ママ」こと尾木直樹は

「ぼくら教育関係者はみなさん信頼しているし、

絶大な人気者。

気さくで威張らないし、

官僚的ではない。

慕っている人も多いですね」

と反論。

元文科省官僚である寺脇研も

「(菅官房長官の言葉とは)全然別の話を省内で聞いている。

『みんな残って下さい』と下の者は思っていたけど、

(前川氏は)『自分は最高責任者として全責任は

自分にあるんだから辞めなくちゃいけない』

と言っていた」

「(前川氏が)辞めた日、省内には涙を流した者も相当数いたみたいですね」

と、菅義偉官房の発言は官邸お得意の

印象操作である見方を示した。

 さらに、『グッディ!』でも、一連の文書の出所が

前川氏だと官邸が睨み、

出会い系バー通い報道をリークしたとする

「週刊新潮」の記事にふれ、問題の出会い系バーを取材。

だが、コメンテーターの編集者・軍地彩弓は

「(前川氏は)脇が甘いと言われてもしょうがないけど、人格否定と

今回のことを一緒にするのは

やめてほしい。

わたしたちが見てても、

この話がくることによって

撹乱されているように思っちゃうので、

分けて話をしたい」

と指摘。

尾木も
「(出会い系バー通いは)まずかった」

としながらも、

「このことで文書の問題を

チャラにしてほしくない。

分けて考えないと」

と語った。

MCの安藤優子も
「前川さんの人間性と証言の信憑性を混同

させようという

動きがあるが、別の話」

と番組冒頭から、

何度も繰り返していた。

 このように、官邸から

恫喝を受けながら

踏ん張ったメディアがある一方、

露骨に避けた番組もある。

たとえば、すでに前川氏にインタビューを行い、本日夜の『NEWS23』で

その模様を流す予定のTBSは、

朝の『あさチャン!』や昼前の『JNNニュース』で

「怪文書じゃない」という前川氏の証言映像を大きく取り上げたが、

『ビビット』ではほんのわずかでスタジオ受けもなく終了。

『ひるおび!』でも11時台の新聞チェックのコーナーで扱っただけだった。

 また、NHKと日本テレビも露骨だ。

朝のニュース・情報番組では

前述したTBSの『あさチャン』のほか、
『グッド!モーニング』(テレ朝)

『めざましテレビ』(フジテレビ)も

朝日新聞を紹介するかたちで前川氏の証言を取り上げたが、

NHK『おはよう日本』と
日テレの『ZIP!』は

一切ふれず。

NHKは12時からのニュースで、国会で松野博一文科相が

「すでに辞職した方の発言なので、コメントする立場にない」

と答弁したことをさらっと伝えたのみで、

日テレも『スッキリ!!』では無視、

昼前の『NNNストレイトニュース』と
『情報ライブ ミヤネ屋』のニュース枠で

少しふれただけだ。

 いや、

露骨といえば、

ご存じ"安倍政権応援団"である田崎史郎の解説だろう。

昨晩の『ユアタイム』(フジ)に出演した田崎は、

前川氏について
「"ミスター文科省"と表現するけど官邸の見方はまったく違っていて、

"最悪の次官だった"っていう認識なんですよ」

と前川氏をバッシング。

挙げ句、

「文書を持ち出したとしたら、これ自体が国家公務員違法になるんじゃないかと言う方もいて。

当面無視していくスタンスですね」と、

またも

官邸の方針を

垂れ流した。

この

詭弁には、

番組キャスターの市川紗椰も

呆れ果てたように

「え、無視って後ろ向きの態度を取られると、

やっぱり何かあるんじゃないかなと思いますし、

政府から調査するべきだと思うんですけどね」

とコメント。

田崎はやや狼狽えつつも、

「文科省の役人が勝手につくったメモ」と断言したのだった。

 官邸の恫喝に負けなかったメディアと、

官邸の言いなりになったメディアが

鮮明になった、今回の前川証言。

しかし、きょうの報道だけで、

加計学園問題は終わりではない。

本日夕方16時より前川氏が記者会見を行い、

証人喚問の要請があれば応じる意志を表明した。

安倍政権の

「行政文書じゃない」

などという

ごまかしで

済まされる

話ではない。

政権の下部組織と化した

NHKと読売系以外の

マスコミには、

官邸の

圧力に

負けることなく

さらなる追及を期待したい。

(編集部)