●安倍政権の北朝鮮危機扇動の中、
『グッディ』高橋克実が本質つく発言!
「太平洋戦争に突っ込んで行った時と同じ」

リテラ /
2017年4月26日 19時18分

 朝鮮人民軍の創建記念日を迎えた25日、

日本のテレビは「Xデー」と呼んで、

朝から晩まで北朝鮮の「ミサイル危機」を報じたが、

結局、北朝鮮は核実験を行わず、

米国が先制攻撃に踏み切ることも、

北朝鮮からミサイルが飛んでくることもなかった。

 というか、そもそも、

仮に北朝鮮が核実験をしたからといって、

それが即、「Xデー」になること

なんてありえない。

まず、国連安保理が開かれて制裁決議をした後、

それでも北朝鮮が応じない場合、

米国がカールビンソンだけでなく複数の空母を朝鮮半島近海に派遣。

韓国から米国人を退避させてから

はじめて先制攻撃が行われる。

北朝鮮が報復に動くのはその後のことなのだ。

 ところが、日本のテレビは

すぐにでも北朝鮮からミサイルが飛んでくるような論調で

危機を煽り、

闇雲に国民の

恐怖心を

煽り続けた。

これには、本来、朝鮮半島有事になれば

日本以上に被害を受けるはずの

韓国政府やメディアからも

「日本は煽りすぎだ」

との批判がよせられている。

 もちろん、こうした空疎な大騒ぎの元凶は

安倍政権だ。

本来、安倍首相がやるべきことは、

なんとしてでも戦争を回避するために、

トランプ大統領を説得し、

対話の重要性をアピールするのはもちろん、

右派やネトウヨががなりたてる「北朝鮮を潰せ!」との好戦的言論を

なだめることだ。

 しかし、

安倍政権は

そうした対応を

一切せず、

日本海での日米共同軍事演習を国民に

詳細を知らせぬまま強行し、

官邸主導で「ミサイル危機」を

厄災的に煽りまくった。

21日には内閣官房の「国民保護ポータルサイト」で

「弾道ミサイル落下時の行動について」と題した一枚のPDFを公開。

同日、都道府県の危機管理担当者を対象に説明会を開き、

ミサイルが落下したときに住民がとるべき行動などを周知するように指示した。

また、24日には首相官邸のメールマガジンで、「身を守るためにとるべき行動」を確認するよう発信した。

 しかも、それでいて、狙われれば最も危険な

原発については、

なぜか、

まったく

具体的に

言及しようとしない。

言うまでもなく、仮に、

原発が報復攻撃の標的とされた場合、

放射性物質が

飛散するなど

極めて甚大な被害が

想定されるにもかかわらずだ。

荒唐無稽な「北朝鮮スパイテロ危機」を

煽る産経編集委員と

宮根誠司

 まったく、ご都合主義としか

言いようがないが、

これを受けて、マスコミは

完全に

"戦争前夜ムード"

を演出する報道一色になった。

米軍基地の存在が逆に

脅威になっていることの指摘や、

安倍政権の

好戦的な姿勢への

批判は

一切せずに、

「北朝鮮からミサイルが飛んでくる!」
「ミサイルがきたら、頑丈な建物へ避難して」



ひたすら

騒ぎ立ててきた。

 それだけではない。

一部のマスコミは

北朝鮮危機を煽るなかで、

在日コリアンに対する

偏見や差別を

扇動するようなことまでおっぱじめた。

 たとえば、

昨日24日の『みんなのニュース』(フジテレビ)だ。

街頭取材で普通に街中を歩いていた市民に

"ミサイルが飛んできたらどう避難するか"を実践してもらうという、

もはや

どうかしているとしか思えないVTRを流すなど、

やりたい放題だったのだが、

さらに酷いのは

スタジオでのコメント。

MCの伊藤利尋アナウンサーが唐突に

"日本国内に北朝鮮のスパイがいる"として、

スリーパーと呼ばれる工作員の話題に切り替えると、

それを受けた産経新聞編集委員の久保田るり子氏が、

得意げに

こんな解説までし始めた。

「だいたい三桁ぐらいいるというふうに言われてるんですね。

直轄のスリーパー、いつもは普通の生活をしていて、

いざというときに動き出す人たちがいるわけですね」

「日本人拉致のときで、やはり海上からたくさんの工作員が、

ほとんどノーマークで上がってこれるという無防備な国、ましてや、そのスパイ防止法がなかったわけです、

いまもないわけですね」

「日本は(米国の)後方支援基地ですから、(北朝鮮が)ここを混乱させたいと、

その場合にたとえばですね、原発をテロの標的にする、あるいは、新幹線、あるいは山手線をイントラネットで入ってですね、混乱させる。

そういったよくわからないテロがぼんぼん起きたら日本中が混乱になるじゃないですか、

そういう可能性があると思いますね」

 久保田編集委員の

ネトウヨ的妄想発言

はいまに始まったことではないが、

「三桁のスリーパーが動きだす」とか、

根拠がなさすぎて

もはや笑うしかない。

しかもこんな状況下で「よくわからないテロ」とか「新幹線や山手線を混乱させる」とか、

具体的内容も根拠も

示さないまま、

ひたすら、普通に生活している人間の中に、

北朝鮮のテロ工作員がいると煽るのである。

これでは、関東大震災の

朝鮮人虐殺を

引き起こした

デマと変わらないではないか。

 だが、こうした根も葉もない

"工作員脅威論"を

振りかざしているのは、

久保田氏だけではない。

たとえば12日放送の『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)では、

司会の宮根誠司が
「有事で北朝鮮崩壊ということになると、

当然、北朝鮮難民という人がやってくる」
として
「このなかにテロリストが紛れているともわからない」

などと煽っていた。


◆安藤優子が
「いまやるとは思えない」、
高橋克実は本質つく発言

 あまりに無責任な発言に頭が痛くなってくるが、

しかし、こんなミサイル危機協奏曲を奏でているワイドショーのなかで

"当事者"の口から本音がぽろりと漏れたシーンがあった。

 それは、24日の
『直撃LIVE グッディ!』。

スタジオに
"官邸の御用ジャーナリスト"である

山口敬之氏と田崎史郎氏をゲストに招き、

やはり「ミサイル危機」を煽りに煽ったのだが、

番組はじめのMC2人によるやり取りは、

実は、この状況の本質を

見事に射抜くものだった。

 それは、安藤優子が
こう素朴な疑問を呈すところから始まる。

「明日、Xデーかという状況になっているんですけども、

うーん、私もまだね、本当にまだ、核実験にせよミサイルの発射にせよ、

いまのいまやるとは到底やっぱり思えない。

これは甘いのかしらね?」

 すると、普段、政治の話題では素っ頓狂なコメントしかしない(失礼!)高橋克実が、

安藤の疑問を受け、神妙な面持ちでこう語り始めたのだ。

「いや、甘いというか、

僕は、普通に暮らしている一市民としては、

単純にやめてほしいということと、

起きなきゃいいっていうぐらいのことで。

どうすればいいかっていう手立てもわかりませんけれど」

 高橋はだんだんと力を込めていく。

「ただなんか、昔のね、

いっとき日本が

太平洋戦争に突っ込んでいくときの、

あのときにやっぱり

日本の国民も、誰も(戦争を)やりたいと思って

なかったと思うんですよ。

北朝鮮のいまのね、暮らしている人たちだって、

一部の人間がこうやってるだけで、

大勢の人は、絶対戦争をやりたいとなんか

思ってないはずなんですよね」

 安藤はここで

「私もそう思いますよ」

と話を遮るのだが、

高橋は被りを気にせず、
必死にこう言い続けた。

「いつも、なにか

違う力でこうなっていくから。

なんとかこれ、止まらないものですかね」

重要なのは

「戦争をやってはならない」

と声を上げ続けること


高橋の言葉は

実に素朴だが、

しかしこれは

真理をついている。

日本の国民も、

韓国やアメリカ国民も、もちろん北朝鮮の国民も、

その大多数は

戦争など

望んでいない。

だが、いまなぜか、

そうした大勢の思いは

無視されたまま、

為政者たちは

戦争へと突き進もうとして、

それをメディアが

支援する体勢になってしまっている。

安倍首相とその支持者たちは

「日本の平和を守るため」

とかなんとか

言って

戦争を

正当化しようとするが、

それは欺瞞だ。

言うまでもなく、

"戦争をしないために戦争をする"

などというのは

矛盾であり、

それが平和を守るための

行為である

はずなどない。

 もちろん、そんなことは

本来、小学生だって

わかっているはずの話だ。

だが、繰り返すが、

いま、この国では

安倍政権とその尻馬にのった

マスコミが

北朝鮮への恐怖を

扇動し、

国民もそれに

騙されて

「北朝鮮にやられる前にアメリカが成敗してほしい」

という

戦争を望む空気に

半分なっている。

 しかし、少なくとも、

政府が醸し出している

"戦争前夜"の流れを止めるためには、

私たちひとりひとりが、

いかなる理由があろうとも、

戦争だけは絶対に

やってはならないと、

強く地道に

声をあげるしかない。

安倍政権が煽るように、

本当に、明日にでも火蓋が切って落とされる可能性が高いのならば、

わたしたちがやるべきは、
そのひとつしかないのだ。

(編集部)