●「朝日新聞」
 
●ドイツ地方選、連立与党が敗北
原発政策、最大の争点に
 
(03/28 09:32)
 
【ベルリン=松井健】
 
 ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州で
27日、州議会選挙があり、
メルケル政権の
連立与党・キリスト教民主同盟(CDU)と
自由民主党(FDP)が敗北した。
 
 福島第一原子力発電所事故の影響で原発政策が最大の争点となり、
環境政党・緑の党が躍進。
 
 ドイツの「脱原発」路線が今後、加速する可能性もある。
 
 緑の党は
社会民主党(SPD)と連立を組む方針で、
ドイツで初めて緑の党が州首相の座を得る可能性が高い。
 
 同州は CDUが1953年から州政府を握ってきた同党の強固な地盤で、
メルケル政権にとって大きな打撃だ。
 
 選挙は、連立与党のCDUとFDPが、
野党のSPD、緑の党と争う構図だった。
 
 暫定公式発表によると、CDUとFDPの得票率は、計44.3%で、
SPDと緑の党の計47.3%を下回った。
 
 緑の党は前回2006年の選挙から倍増となる24.2%を得た。
 
 福島第一原発の事故後、ドイツでは原発の是非をめぐる論議が活発化、
 
州議選でも最大の争点になった。
 
 同州内には計4基の原発があり、現在のマップス州首相(CDU)は原発推進論者として知られていた。
 
 メルケル政権は事故を受け、
稼働開始が古い発電所の運転を停止するなど原発政策の急転換を図ったが、
昨年秋に原発の運転期間を平均12年間延長したばかりだったことから、
有権者に「選挙戦術」と見透かされた。
 
 一方、緑の党は昨年から支持率が上昇基調にあった。
 
 事故後、今回の選挙を「原発の是非をめぐる国民投票」と位置づけ
原発への不安票を取り込んだ。
 
 第2次メルケル政権は
09年の総選挙後、
CDUとSPDの大連立政権を解消して発足した。
 
 だが、昨年5月に西部ノルトライン・ウェストファーレン州議会選で敗れ、
州政府の代表から構成される連邦参議院(上院)で過半数を失った。
 
 バーデン・ビュルテンベルク州の政権交代で上院での野党優位が強まり、
メルケル首相は厳しい政権運営を強いられる。