●セ強行は利益確保の思惑 天の声の鉄槌は避けられない
夕刊フジ [3/18 16:57]
パ・リーグが4月12日に開幕延期したのに、25日開幕強行を正式決定したセ・リーグ。
労組・日本プロ野球選手会(新井貴浩会長=阪神)が反対の声を上げ、世論も同調している。
開幕強行派の巨人など数球団は、なぜかたくなに延期を拒否したのか。
天の声の鉄槌(てっつい)は避けられない。
予測不能の大規模停電の恐れがあると、
海江田産業相が節電の協力を産業界と国民に求めるコメントを発表したまさにその日。
セ・リーグが25日開幕強行を決定。
世論感情を逆なでする行為が強烈にクローズアップされた。
巨人が本拠地開幕する東京ドームの1日の消費電力量は5~6万キロワット(詳細は別項記事参照)。
これは一般家庭に当てはめると5000~6000世帯分の消費電力量に該当する。
停電の影響で街の灯は消え、電車の間引き運転で多くのサラリーマンが通勤にも支障をきたす中、
こうこうと照明をつけてのナイター開催は、
「野球をやることで経済的にも貢献する」(セ・リーグ首脳)
などというセリフさえもはや詭弁(きべん)に聞こえてしまう。
事は電力消費の問題にとどまらない。
被害が拡大するばかりの東日本大震災。
行方不明者の全容もつかみ切れていない中、関東や首都圏でも連日連夜の余震が収まらず、
いまだに第2、第3の震災が発生しないともかぎらない。
放射能汚染の問題もある。
他の競技・団体が年に数度しかない節目のイベントを続々と中止・延期決定する中、
毎日興行できるプロ野球が大都市圏で1万人を優に超えるイベントを強行開催すること自体が異常に際立っている。
大観衆の安全性の確保という観点で、コミッショナーら球界首脳は
どこまでセーフティーネットを張っているのかも甚だ疑問だ。
「今は試合をするときではない。試合をすることで勇気づけるというのは思い上がりだ」
という選手会の言い分は的を射ている。
「義援金」と「勇気」を合言葉に強行する裏には、
開幕延期で生じる多大な収益損失を恐れた利益確保の思惑も透けてみえるのだ。
25日の開幕戦(巨人対横浜=東京ドーム)は、日本テレビが中継する。
当初は「同じ日に人気のある世界フィギュア(女子)とサッカーのザックジャパンの国際マッチがあるので、
巨人戦は惨敗だろう」とテレビ局関係者が断言する悲惨な見通しだった。
バンクーバー冬季五輪金メダリストのキム・ヨナと
銀メダリストの浅田真央が激突する、
東京で開催の世界フィギュアスケート選手権女子ショートプログラム。
さらに、アジア杯で高視聴率を連発したザッケローニ監督率いる
サッカー日本代表が静岡でモンテネグロ戦。
2強とのガチンコ勝負では、逆立ちしても巨人戦には勝ち目はなかった。
しかし、東日本大震災の深刻な影響でフィギュアもサッカーも中止になった。
社会的な一般常識に従った当然の緊急措置だ。
ひょっとしたら、これで巨人の25日開幕強行の決意がさらに強固になったのではないか。
そんなゲスの勘ぐりさえしたくなるような説得力を欠いた裁定だった。
昨年の巨人対ヤクルトの開幕戦のテレビ視聴率は、
第1部(午後5時30分~7時)8・4%、
第2部(午後7時~9時14分)12・3%という
寂しい数字に終わっている(いずれもビデオリサーチ調べ、関東地区)。
最後は節電、停電で暖房や電気機類の使用を最小限にとどめている
ファン・庶民が、厳しい審判を下すはずだ。
(`ヘ´)(`ヘ´)(`ヘ´)
世界フィギュア、サッカーが中止になって、巨人戦だけ放送するとしたら、
まさに、火事場泥棒ではないか!