フィギュアスケートネタです。

 「キス・アンド・クライ」その5です。

 「キス・アンド・クライ」を読んでいて、なるほど、ということがたくさんあるのですね。

 ニコライ・モロゾフコーチは、もうちょっとうまくすれば、
いいコーチなのになと思うのです。

「キス・アンド・クライ」に書かれてあることの続きです。



 うまく行かないジャンプで、いつまでも同じ練習を続けていることについて。

57ページ。
「コーチとしての役割は、そのような状態に陥っている選手に即座に今の練習をやめさせ、
他のことに気持ちを向けさせることだ。
 この切り替えは、選手自身には絶対できないことだからだ。

 ポイントは『即座にやめさせる』点にある。
 練習中に感じる苛立ちは選手から自信を奪い、コーチへの信頼を損なうことにつながる。
 一つのジャンプができないことより、このほうがよっぽど恐ろしい事態だからだ。
 大切なのは、ほんの小さなことでも構わないから、日々、何か新しいことを達成し、前進を続けることだ」



選手の犠牲は甚大。

60ページ。
「フィギュアスケートの世界は、外からは華やかできらびやかに見えることだろう。
 美しい衣装を身につけ、ライトで煌々と照らされた銀盤の上で舞うスケーターたち。
 プログラムを構成する音楽とあいまって、場内は優雅な雰囲気に包まれている。
 悲鳴やため息が漏れることはあっても、他のスポーツとは異なり、

怒号が飛び交うことはない。

 しかし、世界の頂点を目指して努力を重ねるスケート選手の日課は厳しく、繰り返しの多い単調な日々だ。
 彼らの日常は、とても狭い世界に閉じこめられている。
 ほぼ毎日リンクに立ち、昼食を挟んで午前午後と練習し、深夜の練習も日常的。
 つかの間の学校と睡眠だけが息の抜ける時間で、翌日はまたその繰り返しだ。

 決まりきった行動パターンを何日も何週間も、何年にもわたって続けなければならず、
同年代の若者たちのように、気ままに遊んだり出歩いたりすることもできない。

 本番のリンクに立つほんのわずかの時間のために強いられる犠牲は甚大だ。

 『目標にたどり着くことができる』と信じることなしに、
こうした平坦で精神的な疲労が蓄積する毎日を歩み続けることは並大抵ではない。
 目前にそびえているのは、あまりに険しい山道だからだ」



今回は、ここまでにしておきます。