フィギュアスケートネタです。

 「パーフェクトプログラム」という本に、

田村明子氏は、

「五輪で露見した、終わらぬ冷戦」とか、

「関係者に送られた米国ジャッジのEメール」とか、

「抑えられていたプルシェンコのトランジションスコア」とか、

「北米メディアが見せた強いバイアス」とか、

「勝たせてもらえない予感のあったプルシェンコ」とか、

「北米に根強く残る反ロシアの感情」とか、

のタイトルで、
約25ページに渡って、男子のライサチェックとプルシェンコについて、
書いているのに、

女子の高すぎるキムヨナ選手の得点については、一切書いていない。

 なぜ、男子は、あれほど書いているのに、女子は書いていないのだ。

 本には、田村明子氏は次のように書いている。

「ジャッジは全体の採点からあまりにも外れた点を出すと、ISUの監査に引っかかる。
そのため自分の出す点があまり浮かないように、
心のどこかでビクビクしながら出すものだ。
過去に高いレベルで安定した演技を一定期間見せてきた選手だけが、
『この選手になら思い切り高い点を出しても大丈夫』
というジャッジの信頼を得ることができる。
 もし浅田真央が、この五輪シーズンにGP大会でもっと安定した演技を見せていたら、
おそらくこの五輪でのSPの得点は、キムより上だったのではないかと私は思う。
 キムヨナのフリーは
150.06。総合228.56という数字が出た」

 と、淡々と書いている。

 田村明子氏は、キムヨナ選手の150.06という点数に驚かないのか。

 ショートの得点は、浅田真央さんも、78点という点数を出すこともあるでしょう。

 しかし、フリーのキムヨナ選手の得点は、あまりにも高すぎる。

それに、田村明子氏は、疑問を抱かないのか。

 フリーのGOEは、男子でさえ、
ライサチェック8.65
プルシェンコ7.68

なのに、キムヨナ選手のフリーのGOEは、17.40と二桁になっている。

こんなの、あり得ない点数です。
 しかも、PCSが、普通、絶対出ない、9点台が出ているのです。

 今回のオリンピックで、キムヨナ選手の優勝は妥当でしょう。
しかし、その得点があまりにも高すぎるのです。


「ジャッジは全体の採点からあまりにも外れた点を出すと、ISUの監査に引っかかる。
そのため自分の出す点があまり浮かないように、
心のどこかでビクビクしながら出すものだ」


ということは、私も知っていました。
 だから、キムヨナ選手がどんなに調子が良くても、どんなに高い得点が出たとしても、
フリーで140点台、総合で210点台ぐらいだと思っていたのです。

 だから、今回の採点は、ひとりだけ外れた点数を出すと目立ってしまうが、
ジャッジ全員が、外れた点数を出してしまったため、

「赤信号、みんなで渡れば怖くない」
状態になったのでしょう。


 じゃあ、浅田真央さんが、GP大会から、安定した演技を見せていたなら、
浅田真央さんにも、
150点という点数を出したというのですか。

 なによりも、PCSの9点台というのが、おかしいのです。

 いや、9点台も出ることがある、というのなら、私も何も疑問を抱きません。

しかし、「フィギュアスケート バンクーバー五輪完全ガイド」
という本に、(表紙が赤い本)

「PCSのレベル目安
ジュニアのトップ選手は5点台がおもで、
そこからシニアにあがって目指すのはまず6点台だ。
世界選手権でメダルを争うには7点台が必須となり、
世界最高点を出すような選手は8点台が並ぶ。

9点以上はほぼ不可能」

と書いています。

PCSは、各ジャッジの出した点数の平均点だから、
PCSも、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」になったのでしょうか。

 田村明子氏は、いつも辛口の記事を書いているので、今回は期待外れだ。

 前回の「氷上の光と影知られざるフィギュアスケート」という本は、

「ナンシーケリガン襲撃事件」
「ソルトレーク五輪の新採点方式に変わるきっかけになった事件」
「アメリカのフィギュアスケート人気の盛衰」
などが書かれていて、
おもしろかったのですが。