宇都宮直子氏著
「フィギュアスケートに懸ける人々」(小学館新書)を買って読んだ。

 感想は、まず、私は宇都宮直子氏の文章は好きなのですが、
目次のタイトルは、ちょっと凝りすぎ、
もっと分かりやすいタイトルにしてほしかった。
目次のタイトルを見ただけでは、何を書いているのか分からない。

 この本を読んで感じたことは、
それまでのフィギュアスケートは、芸術性を重視して来たが、
伊藤みどりの登場によって、女子もジャンプが跳べなくていけなくなったということ。
カルガリー五輪で、優勝したカタリナ・ビットは、3回転ジャンプは2種類しか跳べなかった。
しかし、5位になった伊藤みどりは、5種類の3回転ジャンプを7回跳んだ。
この時、フリーでは、伊藤みどりが1位だった。
これがきっかけで、フィギュアスケートは、芸術から競技に変わったという。

 しかし、伊藤みどりさんは、
カルガリーが調子よくて、アルベールビルは、最低の大会だったと言います。
オリンピックを2度出る難しさかもしれません。
 水泳の岩崎恭子さんがそうです。彼女は、絶対に上位に上がれないことを承知で、
18歳の時、2度目のオリンピックに出たそうですが。

 そして、山田満知子コーチについても書かれてありました。
山田満知子コーチの信条は、
「スケート優先ではなくて、学業優先であること」

これについては、山田満知子コーチの著者である
「素直な心が才能を伸ばす!」(青春出版社)にも書かれてあります。
21ページと175ページに書かれてある言葉をまとめ書きます。

「子どもたちには、それしかできない〝スケート馬鹿〟にはなってほしくないのです。
そして将来のある人間として、学校にはきちんと行ってほしい。
 スケートの練習がたとえ厳しくても、普通の学校に普通に通い、
同じ年齢の子どもたちとの学校生活をまず優先させてほしい。
小学生は小学生らしく、中高生は中高生らしく、その上でのスケートだと思うからです。
 最初にスケートありき、ではなく。
 優れたスポーツ選手である前に、素晴らしい人間でいてほしい。
 普通があって初めて、その上の特殊が光るのですから」

 私は、この言葉に感動しました。
でも、しかし、そうなら、浅田真央さんは、どうなの、と言いたいのです。

小学校、中学校とほとんど学校へ行かせてもらえなかった。
世界のトップになるためには、それくらいのことしなくては、いけない、
という人もいますが、
しかし、小塚崇彦さんは、学業とスケートを両立させています。
両立させる難しさを
「フィギュアスケートに懸ける人々」に書かれてありますが。
浅田真央さんのお母さんについては、
宇都宮直子著「浅田真央、15歳」(文藝春秋)

浅田舞さんの特集記事のスポーツ雑誌
「Number667号2006年
12月14日号 ナンバーノンフィクション 姉妹。浅田舞 深い闇からの覚醒」(文藝春秋)
に書かれてあります。
これを読んで、じゃ、
山田満知子コーチは、どう思っているのだろう、と思うのです。
私は、ずっと、それを疑問に思っているのです。


「フィギュアスケートに懸ける人々」には、プリンスアイスワールドについても書かれてあります。
プリンスアイスワールドは、
八木沼純子さんが初めて作ったのではなかったのですね。
西武鉄道、プリンスホテルグループが作って、古い歴史があるのですね。

 その中で、西田美和さんについて書かれてあります。
映画の主役をするプロスケーター西田美和、と紹介されたけれど、
西田美和って、誰?って感じだった。
 この本を読むと、選手時代、全日本選手権に出るけれど、成績はいつも低迷。
そのまま引退。そして、すぐにプリンスアイスワールドに入ったという。
トップ選手以外の選手は、
大学卒業と同時に、ほぼ、フィギュアスケートの選手を引退すると言われています。
その後、スケートが好きでも、あきらめて、普通に就職する人が多いと言われます。
そんな中、西田美和さんは、選手時代の成績は悪かったけれど、
スケートを続けたいからと、プリンスアイスワールドに入ったという。
私は、彼女のその姿勢を尊敬します。
あきらめないことが、大事だと思うのです。
スケートを続けることの環境は、決して良くないと思います。
しかし、スケートが好きなら、あきらめずに、もっと積極的にしてほしいと思うのです。